西武園ゆうえんちに「黄昏号」あらわる! 昭和の食堂車をイメージした豪華なレストラン その隠れたこだわりを解説

埼玉県所沢市の西武園ゆうえんちに17日、「食堂車レストラン 黄昏号」がオープンしました。

コンセプトは「豪華列車の旅の体験と食が実際に味わえる極上のエンターテインメントレストラン」で、1960年代の豪華列車の食堂車をモチーフとしています。入口は駅の構内を模したものになっており、扉にはかつての寝台特急列車のようなヘッドマークが装着されていました。

入口の扉に装着されているヘッドマーク
今やほとんど見られなくなった伝言板

店内の装飾も「らしさ」が漂います。客席の上に装飾として網棚が取り付けられており、客として足を踏み入れると、まずはこうしたインテリアで「昭和の食堂車」を視覚的に印象付けられるのです。

昭和の食堂車をイメージした豪華な内装が目を引きます
中央部にはラウンジも設けられています

料理も「ハンバーグステイク」や「カニクリイムクロケット」など、クラシックなスタイルでご提供。どれも趣向を凝らした絶品の西洋料理となっており、「黄昏号」専用のクリイムソーダも3種類注文できます。

食事メニュー一覧は西武園ゆうえんちの公式サイトに掲載されています
2023年から始まる「期間限定!クリィィィィイムソーダ大作戦!!」にあわせ、「黄昏号」では時間帯をテーマにした「東雲」「黄昏」「常夜」の3種を展開、アルコール入りも選べます

真に注目すべきは、「鉄道旅行」を感じさせる仕掛け

しかし、これだけではただの食堂車風レストランに過ぎません。このレストランの真価は、レールの上を走らないにもかかわらず、まるで本物の「鉄道旅行」のような体験が味わえるところにありました。

入店してまず気付くのは、その窓に映る風景が「リアルなつくりもの」であるということ。「黄昏号」の車窓はディスプレイになっており、四季折々の風景を約20分周期で映しています。

じっくりと眺めていると、昔の東京の町並みやレンガ造りのホームなど懐かしさを感じる景色がゆっくりと移り変わり、ときには豊かな自然の中で鉄道車両と並走することも……。

「黄昏号」の車窓に映るのは西武の懐かしの車両たち

また店内に設置されたスピーカーからは絶えず列車の走行音が流れています。これがヴィヴァルディの「四季」や西武園ゆうえんちのオープニングテーマといった店内BGMと重なり、音響の面からも鉄道旅の雰囲気づくりに貢献しています。

「1013」にも隠れた設定が……

入口扉の上には「1013」という車番が振られています

気になるのは入口に掲げられている「1013」という車両番号。実はこれも適当に付したわけではありません。

西武園ゆうえんちの担当者によりますと、「黄昏号」は電気機関車と客車からなる14両編成の列車で、食堂車はその最後尾という設定になっているそうです。

客車は「1000系」という架空の形式とのことで、この「1013」という数字は「1000系の13両目」という意図をもって振られているのです。

「黄昏号」自体は特定の列車を再現したものではなく、あくまでも1960年代の食堂車というイメージから作り上げられたものですが、こうした細部のデザインから隠れた設定を想像してみるのも面白いでしょう。

2023年は「とびっきりスゴYEAR!」

西武園ゆうえんちは2023年を「とびっきりスゴYEAR!」と位置づけており、夏ごろには「ウルトラマン」をテーマとした大型ライド・アクションが登場するなど、”とびっきりスゴい”体験を展開する予定です。

きょう3月17日からは人気ショー「商店街名物 ブギウギ祭」の紙吹雪を通常の約20倍にする「桜まみれフェス」や喫茶ビクトリヤの大人気フードメニュー「クリイムソーダ」のバリエーションを倍増して展開する「期間限定!クリィィィィイムソーダ大作戦!!」も始まります。「黄昏号」はそれらの施策とともに、「とびっきりスゴYEAR!」の第一弾として、これからの西武園ゆうえんちを盛り上げていきます。

園内の夕陽館では「ゴジラ・ザ・ライド」が展開されていますが、2023年夏には「ウルトラマン・ザ・ライド」が登場。担当者によりますと、「ゴジラ」をやめるのではなくどちらも楽しめるようにしたいそうですが、まだ具体的な計画は決まっていないようです
夕日の丘商店街全体を舞台に繰り広げられる人気ショー「商店街名物 ブギウギ祭り」
3月17日から5月7日までの期間中計37日間、通常の約20倍となる100万枚の紙吹雪を使い視界が桜色に染まる「桜まみれフェス」が開催されます

最後に余談を一つだけ。かつて西武園ゆうえんちには「レストランポッポ」という飲食施設があり、2010年まで営業を行っていました。当時「食堂車レストラン」という名称が使われていたわけではなく、その在り方も「本物の汽車と客車を使用」「食堂車をイメージしたレストラン」とだいぶ異なりますが、「黄昏号」の登場は西武園ゆうえんちにおける久々の「食堂車風レストランの復活」とも言えそうです。

記事:一橋正浩

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