2023年新体制、続々。TOYOTA GAZOO Racingブラジル陣営がカローラの新カラーを披露/SCB

 昨季はルーベンス・バリチェロ(フルタイムスポーツ/トヨタ・カローラ)が2014年以来となる自身2度目のシリーズチャンピオンを獲得したSCBストックカー・ブラジル“プロシリーズ”だが、そんな新王者擁するTOYOTA GAZOO Racingブラジル陣営が続々と新体制を発表。すでに昨季最終戦後にもアナウンスされたトップドライバーたちに続き、新鋭らを中心にトヨタ・カローラの2023年カラーリングが公開されている。

 昨年12月10~11日の最終戦を終え、その段階で多くのラインアップを確定させていたTGRブラジル陣営だが、シリーズを代表する強豪フルタイムスポーツのサテライト的立ち位置となるフルタイム・バッサーニでは、早々にトニー・カナーンの残留が決定。エントリー名のテキサコ・レーシングを含め体制維持で挑むとともに、その僚友として2022年は初優勝達成からタイトル争いにも絡んだ隣国アルゼンチン出身のスター、マティアス・ロッシの“古巣復帰”が決まっている。

 また、父ネルソンの息が掛かったファミリーチーム的な性格を持つTMGレーシングで戦ったピケJr.は、来季に向けタイトルスポンサー刷新とともに新体制を構築することとなり、地元の自動車整備企業“ユニバーサル・ソリューション・オートモーティブ・グループ”を迎え、ウイリアム・ルーブ代表が率いる古豪クラウン・レーシングとの技術的パートナーシップを締結。新たにクラウンTMGレーシングとして参戦することをアナウンスした。

 その2023年仕様トヨタ・カローラ33号車を披露したピケJr.は、新たにブラック基調を採用し、引き続き国際的オイルブランドのモチュールからサポートを受けるアグレッシブなカラースキームを評価するとともに、自身6年目のフルシーズンで「悲願の初タイトルに挑む」と宣言した。

「ストックカーで新たなシーズンをスタートできることをとてもうれしく思う。今年はさらに強くなると信じているし、昨年は新しい体制にも関わらず2勝を挙げることもできた。今季はさらに多くのレースで勝利し、タイトルを争えると信じている」と意気込んだピケJr.。

 その初代フォーミュラE王者の新たなチームメイトには、地元のポルシェ・カレラカップで複数のタイトルを獲得した20歳の新鋭エンツォ・エリアスが抜擢され、昨季の“ダブルス”でゲストに招かれ、勝利も経験した“プロシリーズ”に本格挑戦を開始する。

「2022年のダブルスでは幸運にもゲストヒートを勝ち獲ることができた。その実績をもとにストックカーに戻れて本当にうれしい。その経験と同じかそれ以上のレベルを維持するつもりさ」と語ったエリアス。

「シリーズで実績あるクラウン・レーシングの皆にも歓迎され、非常に前向きなデビューイヤーを迎えるためのすべてが揃っている。最高の結果を得るために最善を尽くし、カテゴリーのトップドライバーのなかに完全に自分の名前を入れるつもりだ。僕にとってモータースポーツキャリアの新たな段階の始まりだね!」

ネルソン・ピケJr.のTMGレーシングは、新たにウイリアム・ルーブ代表率いる古豪クラウン・レーシングとの技術的パートナーシップを締結した
その僚友には、地元のポルシェ・カレラカップで複数のタイトルを獲得した20歳の新鋭エンツォ・エリアス(右)が抜擢された
強豪イピランガ・レーシングは、2020年以来のチーム体制を維持し、昨季もレースでの勝利とダブル表彰台を記録したチアゴ・カミーロ、セザール・ラモスの強力な布陣を継続する

■FDAにも所属したペテコフがバリチェロの僚友として2年目に挑む

 同じく強豪イピランガ・レーシングは2020年以来のチーム体制を維持し、昨季もレースでの勝利とダブル表彰台を記録したチアゴ・カミーロ、セザール・ラモスの強力な布陣を継続。ふたりがドライブする21号車と30号車は、そのビジュアルアイデンティティを更新し、今月初旬のサンパウロで新カラースキームがお披露目された。

「我々には安心と信頼の歴史があり、それが自由な革新を可能にしている。親しみやすく流動的で、ますます完全な体験を求める消費者の新しい要求に応えるべく、企業スローガンの『移動できる生活の豊かさを支える』というスローガンに一致する全体的なビジュアルコンセプトに加え、サイドには『Ipimax』など新ブランドのロゴも掲げた」と語るのは、同国の石油小売大手イピランガのCEOを務めるレオナルド・リンデン。

 そして、かのフェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)の一員として過ごし、2020年にはフォーミュラ・リージョナルの欧州チャンピオンも獲得。その翌年にはF2にも参戦したジャンルカ・ペテコフが、跳ね馬乗りの大先輩であるバリチェロの僚友として、地元SCBでも2年目のシートを確保した。

「グリッド上の場所を確認し、こうしてフルタイムとトヨタをもう1年代表してストックカーにフル参戦できることがとてもうれしい。そして何よりも、故郷に戻ってまたシェル・レーシングのドライバーとして戦えることが光栄だ」と喜びを語ったペテコフ。

 2018年にルーカス・ディ・グラッシの僚友としてRCMモータスポーツから本格デビューを飾り、SCBキャリア通算3勝をマークする25歳のブルーノ・バプティスタも、最高の年を過ごした2022年のランキング7位を更新するべく、元F1ドライバーのリカルド・ゾンタとの共闘体制を敷く。

「2022年のパフォーマンスは非常に良く、勝利、ポール、表彰台を獲得した。年末にはタイトル争いにかなり近づいたし、今の目標はさらに一歩先へ進むことだ」と続けたバプティスタ。

「ストックカーは世界で最も競争の激しいカテゴリーのひとつであり、2023年には新しいタイヤサプライヤー(ハンコック)が登場するというニュースもある。2022年を終えた時点からパフォーマンスを再開し、さらに進化するために最善を尽くしたい」

 トヨタ陣営最後の一角として今季もシングルカー体制を敷くスクアドラ・キアレッリは、電動ワンメイクの『ジャガーIペース eトロフィー』で初代王者にもなった38歳のセルジオ・ヒメネスを続投し、3年連続でチャンピオンシップをめぐって争うと表明した。

「契約を更新することは、私とチームにとって自然な選択肢だった」と、今季も73号車トヨタ・カローラをドライブするヒメネス。

「ストックカーは非常に競争力が高く、すべてが1000分の1秒単位で定義される。2021年の初年度は多くを学ばなくてはならなかったが、2022年度はセットも含めて明確な進化を遂げた」

「トップ10に入り、フロントパックでライバルとブレーキング競争をし、ポールポジションを争うところまで来ていたんだ。2023年はチームと一緒に、最初の表彰台を探しに行くつもりさ」

F2にも参戦したジャンルカ・ペテコフが、跳ね馬乗りの大先輩であるバリチェロの僚友としてSCBでも2年目のシートを確保した
今季もリカルド・ゾンタとの共闘体制を敷くブルーノ・バプティスタ(RCMモータスポーツ/トヨタ・カローラ)の44号車
スクアドラ・キアレッリは、電動ワンメイクの『ジャガーIペース eトロフィー』で初代王者にもなった38歳のセルジオ・ヒメネスを続投

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