岩佐歩夢が今季初優勝。抜群のスタートで大荒れの高速市街地戦を制す【FIA F2第2戦ジェッダ レース1】

 3月18日、2022年FIA F2の第2戦ジェッダの決勝レース1が、サウジアラビアのジェッダ・コーニッシュ・サーキットで開催され、レッドブル&ホンダ育成の岩佐歩夢(ダムス)が今季初優勝。FIA F2通算3勝目を飾った。

 第2戦スプリントレース(決勝レース1)のグリッドは、17日に行われた予選トップ10のリバースグリッドで決定され、予選で10番手タイムを記録したレッドブル育成のジャック・クロフォード(ハイテック・パルスエイト)がポールシッターとなった。フロントロウ2番手にはラルフ・ボシュング(カンポス・レーシング)、セカンドロウ3番手にクッシュ・マイニ(カンポス・レーシング)と、今季好調のカンポスの2台が続いた。

 予選で7番手タイムを記録し、4番グリッドに着くはずだったフレデリック・ベスティ(プレマ・レーシング)だが、前戦バーレーン大会レース2でリチャード・フェルシュフォー(ファン・アメルスフォールト・レーシング)に追突した件で5グリッド降格ペナルティを受けることとなり、予選6番手タイムをマークした岩佐が繰り上がりで4番グリッドを獲得した。

 フォーメーションラップ直前の計測で、気温26.7度、路面温度34.8度というほぼ前年並みのコンディションに。西陽が沈みゆく夕焼け模様のなか、タイヤ交換義務無し、20周の決勝レース1はスタートを迎えた。

2023年FIA F2第2戦ジェッダ 決勝レース1のスタート

 抜群の好スタートを決めたのは4番グリッドスタートの岩佐。マイニ、ボシュングのカンポス勢をかわし2番手でターン1に突入。岩佐はオープニングラップからトップのクロフォードを攻め立て、2周目のターン1へのブレーキング勝負で岩佐が競り勝ち、ここで岩佐がトップに浮上する。

 その直後、ターン1でレッドブル育成のゼイン・マロニー(ロダン・カーリン)がスピンを喫し、ここでマシンを止めることに。マロニーはレコードライン上でマシンを止め、これでセーフティカー(SC)が導入される。この時点で岩佐、クロフォード、ボシュング、マイニ、ユアン・ダルバラ(MPモータースポーツ)というトップ5に。

 レースは5周目に再開を迎えた。リスタートの混戦のなか、ボシュングがターン1でクロフォードを攻略し2番手に浮上。一方、マイニは6番手にポジションを落とし、ダルバラが4番手、オリバー・ベアマン(プレマ・レーシング)が5番手に浮上する。

2023年FIA F2第2戦ジェッダ トップに浮上した岩佐歩夢(ダムス)

 リスタートから岩佐はクリーンエアで走行。2番手ボシュングもDRS圏内からはなかなか離れないものの、1周0.2秒のギャップを広げつつあった。

 そんななか、7周目のターン1でランキングトップのテオ・プルシェール(ARTグランプリ)がベアマンに接触し、両車リタイアとなった。このアクシデントで2度目のSCが導入される。なお、SC導入直前にはダルバラがクロフォードを攻略し、3番手に浮上している。

2023年FIA F2第2戦ジェッダ テオ・プルシェール(ARTグランプリ)はリタイアによりポイントランキングトップの座を明け渡すことに
7周目の接触でリタイアとなったオリバー・ベアマン(プレマ・レーシング)とテオ・プルシェール(ARTグランプリ)

 レースは後半に差し掛かる10周目に2度目のリスタートを迎えた。リスタートではビクトール・マルタンス(ARTグランプリ)が鋭いブレーキングでクロフォードを攻略。さらに、クロフォードはマイニにもかわされ、一気に6番手まで後退してしまう。

 11周目の最終ターン27ではダルバラがボシュングを攻略。しかし、続く12周目のターン1でふたたびボシュングが前に出て順位は変わらず。2台の争いは翌周も続き、13周目のターン1でダルバラが2番手に浮上。ダルバラ、ボシュング、マルタンスが接近戦を演じるなか、岩佐は自分のペースを維持しつつ、タイヤを労って走行を続ける。

2023年FIA F2第2戦ジェッダ 岩佐歩夢(ダムス)

 2022年FIA F3チャンピオンのマルタンスは、14周目のターン1でボシュンをかわし3番手に浮上。15周目のターン1でダルバラが岩佐に仕掛けるが、ここではダルバラが止まりきれずオーバーラン。その間にマルタンスも接近。トップ3台が1秒以内、さらにボシュング、マイニも続き、上位勢が数珠繋ぎの見応えのあるバトルが繰り広げられる。

 1ミスで大きく順位が変わる緊張感漂う17周目。またもターン1でダルバラが岩佐に仕掛けた。DRSが使えない岩佐だったが、ここもトップを死守。一方、立ち上がりでマルタンスがダルバラをかわし2番手に浮上する。

 レースも終盤を迎えた18周目、マルタンスは岩佐の背後1秒以内をキープ。ただ、そんなマルタンスの背後にはダルバラらが続き、簡単には仕掛けられない。こう着状態が続くまま、ファイナルラップでも接戦が繰り広げられた。

 20周目を終え、4番グリッドから抜群の好スタートを見せ、他車との間合いや自身のタイヤ、レースペースをコントロールし切った岩佐歩夢が今季初優勝。FIA F2通算3勝目を飾った。2位にマルタンス、3位にダルバラが続いた。

 続く、フィーチャーレース(決勝レース2)は日本時間3月19日の22時15分より、タイヤ交換義務を有する周回数28周で争われる。プルシェールのペナルティにより3列目5番グリッドからスタートを迎える岩佐の走りに引き続き注目したい。

2023年FIA F2第2戦ジェッダ レース1を制した岩佐歩夢(ダムス)
2023年FIA F2第2戦ジェッダ レース1を制した岩佐歩夢(ダムス)
2023年FIA F2第2戦ジェッダ レース1を制した岩佐歩夢(ダムス)

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