前日クラッシュのロペス「自信を取り戻すのに数周かかった」トヨタ、ワン・ツーで最良の幕開けを飾る

 3月17日(金)、アメリカ・フロリダ州のセブリング・インターナショナル・レースウェイで行われた2023年WEC世界耐久選手権第1戦セブリング1000マイルの決勝レースで、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は7号車GR010ハイブリッドが優勝。8号車が2位で続き、TGRは11台のハイパーカーによる新時代バトルの初戦をワン・ツー・フィニッシュで飾った。

 マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペスの3名がドライブする7号車は、クラッシュを喫した16日のフリープラクティス3から見事なカムバックを果たし、アメリカの耐久レースの聖地であるセブリングでの239周にわたる激戦を制した。

 2022年のWECシリーズチャンピオンであり、ル・マン・ウイナーでもあるセバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮の8号車は、レース前半をリード。最後まで僅差のトップ争いを繰り広げたが、2.168秒差の2位でチェッカーを受けている。

2位に入った8号車GR010ハイブリッド

 スタートして間もない5周目に、GTクラス車両のアクシデントにより早くもセーフティカーが導入され、25分ほどしてレースは再開。このセーフティカー走行中に、首位のフェラーリ499Pが給油のためにピットインしたため、2〜3番手スタートだった2台のGR010ハイブリッドは順位を上げることに。

 レース前半はそのまま8号車GR010ハイブリッドがリードしていたが、レース折り返しを前に7号車の可夢偉が8号車をパスして首位へと浮上した。

 その後は順位を入れ替えることはなく、日没後の暗闇をライトが照らす中、チェッカーフラッグを受け、ワン・ツー・フィニッシュを達成した。

 TGRから第1戦を戦った6名のドライバーのレース後のコメントは、以下のとおり。

2023年WEC第1戦セブリング ハイパーカークラス暫定表彰式の様子

■「ライバル勢を過小評価してはならない」と可夢偉

■小林可夢偉(チーム代表兼7号車ドライバー)

「このレースで勝つことができて最高の気分ですし、TGRチームオーナーである豊田次期会長、また佐藤次期社長を含む日本で支えてくれた皆様をはじめとして、サポートしてくれた全ての方に感謝いたします。TOYOTA GAZOO Racingファミリーは今シーズンへ向けた準備のために本当に一生懸命、努力をしてくれました」

「昨日の予選はとても大変でしたが、力強く復帰することができ、全員の努力によるワンチームという我々の哲学を示せました」

「ワン・ツー・フィニッシュは望みうる最高の結果ではありますが、まだ激戦が予想される今シーズンが始まったばかりです。今日の決勝で我々は勝つことができましたが、ライバル勢を過小評価してはなりません。今日は経験が助けてくれましたが、今季はライバルからの挑戦に立ち向かうことになるでしょう」

「我々もさらに強くならなくてはなりませんし、戦いは激しさを増すことになります。チャンピオン争いは本当に面白いものになるでしょうし、その中に居られるのはとても嬉しいことです」

■マイク・コンウェイ(7号車)

「ワン・ツー・フィニッシュでシーズンのスタートを切れたというのは最高の結果だ」

「2台によるレースはとても僅差で、それを制して勝てたことは本当に嬉しい。セブリングは路面が荒れており、ミスもしやすいとても難しいコースだが、7号車のクルーは全員がすべてうまくやってくれた。可夢偉もホセも素晴らしい走りだった」

「最後は、1年前に亡くなった父のことを思い出し、感慨深いものがあった。今日の勝利を彼に捧げたい」

■ホセ・マリア・ロペス(7号車)

「チームのためにも本当に嬉しい。全員が素晴らしい仕事をし、激戦にもかかわらずワン・ツー・フィニッシュを果たせた」

「予選こそ最高の結果とは言えなかったが、決勝レースへ向けては良いクルマに仕上がっていることは分かっていたし、クルーも素晴らしい仕事をしてくれた」

「昨日のアクシデントの後、最初にクルマへ戻るのは簡単ではなかったし、自信を取り戻すのに数周かかった。とは言え、私自身のスティントには満足している」

「もちろんマイクと可夢偉もしっかりと仕事をしてくれた。完璧なレースで、最高のシーズンスタートとなった」

中盤からレースをリードした7号車GR010ハイブリッド

■セバスチャン・ブエミ(8号車)

「チームにとって、このような力強いパフォーマンスを見せてワン・ツー・フィニッシュでシーズンのスタートが切れたということには、もちろん非常に満足している」

「すべてのドライバーが勝利を望んでいるが、我々のように2台体制のチームでは、勝つことができるのは1台だけだ。7号車のクルーは今日とても良い仕事をした。チーム全体のパフォーマンスは本当に良かったし、レースウイークを通して、ライバルに対しても良い位置で戦うことができた」

「今日のレースはまだ一歩目であり、今シーズンは厳しい戦いになると思うが、まずワン・ツー・フィニッシュが飾れて本当に嬉しい」

■ブレンドン・ハートレー(8号車)

「チームにとって最高の結果であり、ハードワークを続けてきてくれた皆に応えられたという意味でも本当に嬉しい」

「僅差のレースで、我々も首位を走っていただけに、8号車が2位だったのは少し残念だが、我々にはやや運が足りなかったのだと考え、優勝した7号車を祝福したい」

「あのような激しいレースで、最終的に2台がわずか2秒差でフィニッシュできたというのは、チームがいかに素晴らしい仕事をしてくれたかを示していると思う」

■平川亮(8号車)

「ハイパーカー新時代のスタートとなる、新たなシーズンの開幕をワン・ツー・フィニッシュで飾ることができ、チームにとって完璧なレースでした」

「セブリングでのこの結果は本当に嬉しいですが、シーズンはスタートしたばかりで、今季は最大の目標であるル・マンを含めまだ6戦残っています。我々は順調ですが、ライバルも改良を続けてくるはずなので、プッシュを続けて行く必要があります」

「このチャレンジの一員であることは楽しいですし、もう次のレースが楽しみです」

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