「実験内容などに的確に反論できず」“袴田事件”抗告断念 高検の判断を元判事はこう見た

1966年、静岡県の旧清水市(現静岡市清水区)で一家4人が殺害されたいわゆる“袴田事件”をめぐり、東京高検が3月20日、抗告を断念しました。

<井手春希キャスター>

専門家に検察の判断について見解を伺います。元裁判官の木谷明弁護士です。東京高検が特別抗告を断念しましたが、木谷さんはこの判断をどのように見ますか。

<木谷明弁護士>

まったく当たり前のことだけど、本当によかったと思います。私はもともと特別抗告できないと思っていたけど、特別抗告するという情報が出たので心配していました。

<井手春希キャスター>

捜査機関による証拠のねつ造についても東京高裁は言及していましたが、検察はこれを認めるしかなかったということでしょうか。

<木谷明弁護士>

あの理屈を詰めていくと、それ以外に考える方法はないんです。その前の実験内容や医者の意見に的確に反論できない限りは、あの結果を認めるほかはないでしょうね。

<井手春希キャスター>

死刑が確定した事件で再審が開かれるのは5件目で、過去4件はいずれも無罪が言い渡されているが、どのような判決が予想されますか。

<木谷明弁護士>

これまでの5件だけでなく、再審開始になった事件で無罪以外の結論になった事件はないので、そうした前例からすると無罪の結論が予想される。無罪以外の判決は現段階において想像できません。今回の東京高裁の決定は、大変説得力があるので、それと異なる決定は再審裁判所でもできないのではないか。

<井手春希キャスター>

2014年に静岡地裁で再審開始を決定した当時の裁判長村山浩昭さんは、今回の特別抗告断念を受け、「この先は再審公判のおいて、しっかりとした審理をできるだけ速く実現し、袴田さんのえん罪が晴れることを一市民して期待している」とコメントしています。

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