要支援者の円滑な避難に同意なくても名簿提供 沖縄各地で条例化目指す動き 北谷や那覇

 【北谷】北谷町は、災害時に自分で避難できない要支援者の円滑で迅速な避難支援を目的に、避難行動要支援者名簿を原則的に本人の同意なしに外部提供できる条例施行を目指している。同条例案について同町議会3月定例会で20日、渡久地政志町長は「県内初の制定となり、防災組織や民生委員などと地域の要支援者の正確な把握、見守りなどが可能となる」と述べた。玉那覇淑子町議(無所属)への答弁。本議会で可決されれば4月1日から施行する。情報提供は拒否もできる。

 那覇市でも同様の動きがあり、市は市議会2月定例会で提案している。従来通り同意を得た場合のみ提供を続ける市町村もあり、対応は分かれそうだ。

 施行されると要支援者名簿と個別避難計画情報を災害時でなくとも同意なしに外部提供できるようになる。提供先は町役場の部署、消防機関、警察機関、民生委員、町社会福祉協議会、自主防災組織、自治会など。

 各市町村はこれまで名簿を外部提供する際、要支援者の同意を得るか、各市町村が定める個人情報保護条例の審議会の判断に従っていた。一方で、これまで各市町村ごとの条例で運用されていた個人情報保護制度を全国的な統一ルールで運用するため、個人情報保護法が4月1日から改正、施行されるのに伴い、市町村の審議会は個人情報の外部提供に関する判断権限がなくなる。そのため、提供に関する独自の条例を制定することになった。

 町の担当者は「突発的に発生する災害に対して、平時から備えることができる。避難訓練や安否確認などに活用されることが期待される」と説明した。

 (名嘉一心)

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