聖地に確かな爪痕 気迫の104球、接戦に導く 石橋の先発入江

力投する石橋の入江=甲子園

 第95回選抜高校野球大会は21日、2回戦3試合を行い、21世紀枠で初出場した石橋は同じく初出場の能代松陽(秋田)に0-3で敗れ初勝利はならなかった。

 幼い頃から憧れた甲子園。そのマウンドに立てた喜びをかみしめながら、石橋の入江祥太(いりえしょうた)は104球を粘り強く投げ込んだ。

 「度胸があって安定感がある」(福田博之(ふくだひろゆき)監督)。大舞台向きの性格を買われ、先発を言い伝えられたのは当日の朝。「やってやる」。自然と気持ちが高まった。

 打者の手元でわずかに動く直球と切れ味鋭いスライダーで打たせて取った。初回は甘く入ったボールを捉えられたが、二回以降はきっちり修正し「コースを突く自分の投球ができた」と振り返った。

 中学時代は硬式の県央宇都宮ボーイズに所属し、3年春には主軸として全国大会優勝も経験。ただ、勉学重視の家庭で育ち「小さい頃から文武両道を意識してきた」と言い、進学先を選ぶ中で求めたのは勉強も野球も全力でできる環境。2021年の秋の県大会で作新学院高を破って準優勝した石橋の門をたたいたのは自然な流れだった。

 堂々の投球を披露したが、八回途中の降板には「悔しい」とひとこと。体力不足を痛感し「終盤でも自分の球が投げられるようにしたい」と成長を誓った。

 チームとして初出場初勝利の快挙はならなかった。それでも背番号6の1年生が見せた投球は、聖地に確かな爪痕を残した。

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