大分トリニータ 多彩な球質でゴールを射抜く高畑奎汰 【大分県】

開幕5試合を終えて無敗。4勝1分け、勝ち点13で2位。大分トリニータがスタートダッシュに成功した。好調の要因は守備の安定に尽きるが、セットプレーからの得点も際立つ。下平隆宏監督は開幕前に「セットプレーは今季の大きな得点源になる」と明言している。プレースキッカーを務める高畑奎汰は、今季すでに3得点を挙げ、そのうち2得点が直接FKによるものだ。「いいタッチで蹴れている」と、指揮官がキッカーに指名した。

大分には高畑以外にも、精度の高いキックや一発の魅力を秘めたキッカーはいる。ただ高畑がピッチにいるときは、セットプレーのキッカーをほぼ任されている。左右のCK、ゴールからやや離れた位置からのFKでは、数種類の弾道を蹴り分ける。3節の栃木戦では、後半36分に相手ペナルティーエリア(PA)右のすぐ外側のFK場面で、直接決めた。相手GKの動きをしっかりと見極め、そこしかないという位置に射抜く。高畑いわく「狙い通りの軌道」と、してやったりのゴールだった。

チーム内の関係性もよく、気持ちよくプレーできている

さらに、今季初先発となった5節の千葉戦では、前半7分に相手PA中央付近でFKを得ると、今季から練習で磨きをかけていた無回転シュートを披露する。GKの前でバウンドし、わずかにポスト横にそれたが、その6分後にほぼ同じ位置から、「同じ球質で蹴った。1本目でいいイメージがあったので調整するだけだった」とゴールネットを揺らした。2本のシュートを間近で見ていた野村直輝は「1本目で芝の長さやピッチの硬さを確かめ、2本目で微調整した。GKと駆け引きして、同じコースを狙ったのは自信があったからだと思う」と解説する。

左右に不規則に揺れる無回転シュートは、対峙(たいじ)するGKにとって脅威となる。「枠に飛ばせばGKのファンブルを狙えるし、何かが起きる。今は2、3本蹴って1本を枠に飛ばせるくらいの精度」と高畑。さらに精度がアップすれば恐ろしい武器になることは間違いない。高畑と同じポジションにはドリブルで局面を打開できる藤本一輝がいる。タイプの異なる選手とのポジション争いはし烈だが、「試合に出たときにチームが勝てるかどうかでその選手の価値が変わる。一度先発の座を手放すと簡単に取り戻せない」(野村)と言う先輩の言葉が染みわたる。高畑は「今季は継続して結果を出せるように意識したい」と貪欲な姿勢を見せた。

5試合で3得点と好調をキープする

(柚野真也)

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