男児が心肺停止、昼食中にウインナー誤嚥…後遺症 幼稚園に賠償命令 必死で吐かせる教諭ら心肺蘇生せず

さいたま地裁=さいたま市浦和区高砂

 2016年11月、幼稚園に通う男児=当時(4)=が昼食中に食べ物を喉に詰まらせ後遺症を負ったのは園側に安全配慮義務違反があったなどとして、家族が当時通っていた学校法人戸田第一学園(埼玉県戸田市)や教諭らを相手取り、計約5億4千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が23日、さいたま地裁であった。中久保朱美裁判長は園側の一部対応に安全配慮義務違反があったと認め、計550万円の支払いなどを命じた。

 訴状などによると、原告側は同法人が運営する幼稚園で、男児が昼食時にウインナーを誤嚥(ごえん)し、心肺停止に陥ったのにもかかわらず、救急隊が到着するまで心肺蘇生を行わなかったことで、重篤な後遺症を負わせたと主張した。

 判決理由で中久保裁判長は、男児が喉にウインナーを詰まらせた際、教諭は吐き出させることが最優先と考え、背中をたたき続けたことは、一定の合理性を有していると指摘。しかし、その後も別の教諭が異物除去を試みるも事態は好転せず、顔色などから意識や反応がないことは認識できたとし、「この時点では少しでも早く心肺蘇生を実施すべきだったと認められる」と述べた。

 一方で、被告らの安全配慮義務違反が認められる時点で心肺蘇生を行っていても「後遺症が残らなかったとの事実は認めるに足りない」とした。

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