津田寛治さん絶賛「ひっでおもっしぇー」福井県の方言辞典できた 高校生が編集、図鑑と小説の2部構成

福井の方言辞典づくりの取り組み成果を津田さん(前列中)に報告した生徒=3月25日、福井市観光交流センター

 福井の方言、おもっしぇー―。福井県内の高校生たちが企画、取材、執筆を担った方言辞典の本年度の編集作業が終わり、3月25日に成果報告会が福井市観光交流センターで開かれた。約100語をイラストとともに紹介する「図鑑」と、方言が随所に登場する「小説」の2部構成。生徒たちは「若い世代にもっと方言を好きになってほしい」と期待した。

 来年春の北陸新幹線県内開業に向け、県などが展開する「福井の方言愛着ましましプロジェクト」の一環。高校生24人が参加し、9回にわたり会合を開き内容を話し合ってきた。

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 図鑑編は、福井、奥越、越前海岸、南越前、敦賀、美浜、高浜の福井県内7区分で、生徒たちが取材などを通して気になった方言を取り上げ、意味や例文を掲載している。小説編は、県内全域から生徒が集まる高校に転校してきた東京出身の少女が、同級生と福井の方言を学んでいく内容。プロジェクトのポータルサイトで公開しており、今後も内容を充実させる。

 成果報告会にはメンバー17人が参加。プロジェクトリーダーの「おもてなし担当知事」を務める福井市出身の俳優津田寛治さんに、辞典の内容を紹介した。

 編集長を務めた森野巧巳さん(高1)は、辞典のタイトル「まんでもん(一生もの)~若者と方言のズシ(小路(こみち))~」について、「一生ものの辞典が若者と方言をつなぐ小路となるように」と思いを込めたと説明した。

 津田さんは、若者が祖父母らが話す方言を辞典にする取り組みに「未来に方言が残っていく一つの手段になる。予想以上に素晴らしいものになっている」と絶賛。メンバーに2022年度の修了証を手渡した。

 小説執筆者の一人、巌千明希さん(高2)は「分かりやすく伝えられるものになったと思う」と振り返った。

図鑑編に掲載された方言の例

■福井エリア

「~しね(ま)」 ~しなさい 「ひっで」    とっても 「ほかす」    捨てる

■奥越エリア

「かたいけのう」 お元気ですか 「おしずかに」  ごゆっくり 「ちゃがちゃが」 むちゃくちゃ

■越前海岸エリア

「したたるい」 (話が)くどい 「へかす」    からかう 「すこい」    ずるい

■南越前エリア

「ふんべる」   努力する 「すかんと」   あっさりと 「たまで」    まるで、全然

■敦賀エリア

「いなす」    帰らせる 「きづつない」  心苦しい 「ひだるい」   ひもじい

■美浜エリア

「おしまいな」  さようなら 「あたん」    乱暴な 「どろくた」   わんぱく

■高浜エリア

「あどめる」   片付ける 「いぐちない」  気の毒な 「いんげんこく」 自慢する

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