長崎県勢 各競技で苦戦 ハンド女子・清峰、涙の初戦敗退 全国高校選抜

【ハンドボール女子2回戦、清峰-今治東】後半8分、清峰のセンター山本がシュートを決めて8点目=岐阜市、岐阜メモリアルセンターで愛ドーム

 全国高校選抜大会は25日、各地で11競技が行われ、長崎県勢はバドミントン男子団体で第1シードの瓊浦が初戦の2回戦で聖ウルスラ学院英智(宮城)に2-3で敗れるなど、各競技で苦戦が続いた。
 ハンドボール女子の清峰は2回戦で今治東(愛媛)に15-18、男子の長崎日大も2回戦で近畿1位の神戸国際大付(兵庫)に24-31で惜敗。バドミントン女子団体の諫早商は2回戦で第1シードの柳井商工(山口)に0-3で敗れた。空手女子組手団体5人制の長崎日大は3回戦、瓊浦は2回戦で敗退。男子組手団体3人制の猶興館も準々決勝を突破できなかった。
 ラグビーの長崎南山は東京を35-17で下して2回戦進出。なぎなた女子団体の松浦は山形西、中村学園女(福岡)を倒して3回戦に進んだ。
 ソフトボール男子は大村市、フェンシングは島原市で開催。ソフトボール男子の島原工は1回戦で盛岡中央(岩手)を22-0(五回コールド)で圧倒して2回戦に進んだ。フェンシングのフルーレに臨んだ男子の長崎工と諫早商、女子の諫早商の3チームは、いずれも初戦を突破できなかった。
 26日は各地で12競技を実施する。

◎金子監督が今大会最後に転勤 山本主将「夏こそ16強達成 恩返しを」

 ハンドボール女子の清峰は涙の初戦敗退に終わった。今大会を最後に離島への転勤が決まっている金子監督に、感謝の勝利を誓っていた選手たち。主将のセンター山本は「金子先生とハンドをやりたくてここに来て、最後まで一緒にできると当たり前に思っていた。とても悔しい」。言葉を絞り出すのに時間がかかった。

【ハンドボール女子2回戦、清峰-今治東】選手たちに指示を送る清峰の金子監督=岐阜市、岐阜メモリアルセンターで愛ドーム

 佐世保北高、福岡大を卒業後、24歳で非常勤講師からスタートした金子監督。36歳の現在まで13年間、初心者ばかりだった地方の県立校を地道に、熱心に育ててきた。月1回の清掃ボランティアへの参加など地域との交流も大切にしながら、物心両面で応援されるチームをつくってきた。
 「くそがきだった自分も大人になれた13年間。生徒たちが夢中になるように、いろいろなことを考えられるようになった。勝てない悔しさはあっても、苦しいと思ったことはほとんどなかった」
 そんな前向きな指揮官が築いたチーム最大の武器は明るさ。「言葉は悪いかもしれないけど、どこか友だちみたいな感じもあって…」。真っ赤な目で語る山本の言葉が、その信頼関係を物語っていた。
 並々ならぬ闘志を燃やして迎えたこの日。今治東(愛媛)との一戦は、序盤から一進一退の攻防になった。8-10で入った後半に逆転して一時2点差まで広げたが、勝負どころのパスやシュートが乱れ、立て続けに速攻を許して再びひっくり返された。「いつもできていたことができなかった」。最多8得点のエース樫本は唇をかんだ。
 無情のブザーが鳴り響く場内。金子監督は無念さを押し殺しながら穏やかに最終戦を振り返り、教え子たちにエールを送った。「勝たせてあげられずに、ごめんなさい。落ち込むのは自分だけでいい。選手たちには次がある。こんなところでへこんでる場合じゃない」
 4月から赴任する五島海陽にハンドボール部はない。「さみしいけど、与えられた場所で自分らしさを出していく」と気丈に前を向いた若き指導者に、山本は「目標にしている全国ベスト16を、夏こそ絶対に達成して先生に恩返ししたい」と最後は涙を拭った。

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