昨年の神奈川高校野球を沸かせた選手たちが、それぞれの春を迎えている。昨夏の神奈川大会決勝でマスクをかぶった横浜・玉城陽希と東海大相模・谷口翔生は日体大に進学。頂点を競ったライバルが、今春からは大学野球の名門でチームメートとして互いに高め合う。
◆対戦時の思い
共に扇の要として名門をけん引。昨夏の決勝は横浜に軍配が上がり、谷口が1年生ながら先発マスクをかぶった2020年秋の準決勝は東海が勝利している。
─互いの印象は。
谷口 横浜の主将ということと、同じポジションでもあったので意識していた。負けたくない気持ちが一番強かった。
玉城 1年秋に試合をしたときから捕手で出ていたので、すごいなという印象があった。その時から甲子園に出るためには相模を倒すしかないなと思っていた。
1─0で横浜がサヨナラ勝ちを収めた昨夏の決勝。両先発の好投で名門対決にふさわしい死闘を繰り広げた。
─振り返って。
谷口 自分たちがやっていた野球は間違っていなかったと思うが、横浜高校さんの方が実力的にもチーム力という部分でも上だった。
玉城 点を全く取れなかったので、もっと取れれば良いなという雰囲気だったが、抑え込めたのはプラン通り。
谷口 思い出すのは九回。(横浜の攻撃が)岸本(一心)から始まった時にやばいなと。出塁させたら負ける確率が上がると思い配球したが、うまく打たれた。あの球がサヨナラ打の球よりも悔いが残っている。確かスライダー。自分の中では庄司(裕太)の一番良いボールを選択した。
玉城 大会に入ってから相模と試合する前提でメンバーを外れた3年生がずっとデータを取ってくれていた。自分は一戦必勝というスローガンもあったので、あえて目を通さなかったけど最後は研究に研究を重ねて、杉山(遥希)がベストピッチングしてくれた。
─互いのチームの印象は。
谷口 横浜は守りがすごい堅くて、相手が崩れた瞬間に点を取るようなチーム。相手の隙につけ込むのがうまい。
玉城 投手は求(航太郎)、庄田(聡史)という印象が強くて、夏に庄司が出てきた。球速も140キロ台後半が出ていたし、今の神奈川ならナンバー1投手。攻略するのが難しかった。
─決戦前夜は。
谷口 ロースコアになるのは分かっていた。象徴のアグレッシブ・ベースボールをしようと思っていたが、出塁できず封じ込まれた。杉山は予想以上。あそこまで打てなかったのは今までチームとしてもなかった。
玉城 寮生の野手陣で室内練習場に行き、マシンの球速を160キロくらいに設定して速球に目を慣らした。実打はせずにタイミングを合わせる練習。舞い上がっていたような雰囲気だったけど、決勝の朝に(村田浩明)監督さんから手紙をもらいわれに返った。気合が入った。