なぜ? 教師に残業代を払わないと定める教員給与特別措置法(給特法)とは

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。3月17日(金)放送の「ニュースFLASH」のコーナーでは、教員給与特別措置法(給特法)と教職員の残業に関する報道について、意見を交わしました。

◆月に96時間以上の残業があるのに残業代は…

公立小中学校の教職員の給与などを定める「教員給与特別措置法」。いわゆる"給特法”の抜本的な見直しを求め、現役教員などの有志団体が文部科学省に約8万人の署名と要望書を提出しました。

給特法は公立小中学校の教員に残業代を支払わないと定めており、要望書では教職員にも労働基準法を適用し、適切な残業代を支給することなどを求めています。文科省では、現在、教員の勤務実態を調査中で、今後その結果を受け、給特法の見直しの検討に入るとしています。

教員である父親の姿を見て育ったという株式会社ゲムトレ代表の小幡和輝さん。父は10時間以上勤務して帰宅した後も残務に追われ、土日も部活の顧問で休みがほとんどなかったそうで「相当昔から教員には長時間残業させるのが当たり前になっていた」と振り返り、「(対応が)遅いというのが正直なところ」と所感を述べます。

さらに、「8万人もの署名があり、昔から言われていることでもあるので、実態調査とか言う前に"いい加減にしろ!”という感じ」と憤りをあらわに。

ライターのヨッピーさんの父親も教員で「テスト期間には、(父親が)テスト用紙の束を持ち帰って(自宅で)採点していた。なんとか改善してほしい」と切望。

キャスターの堀潤は、先生方の体調・精神面を懸念し「学校の先生が壊れてしまうのは、子育て中の親御さんも不安」と案じます。

そもそも給特法では、残業代の代わりに月給の4%分を上乗せして支給すると定められていて、この割合は1966年に制定されました。1ヵ月の残業時間を見ると、給特法が制定された1966年は平均8時間。しかし、全日本教職員組合の調査によると、現在は平均96時間10分に上り、これは過労死ライン(月80時間)をゆうに超えています。

◆教職員の過酷な職場、まず改善すべき点は? デジタル化は?

今後、学校現場に教育実習に行く予定というFridays For Future Tokyoオーガナイザーの黒部睦さんは、今回の件について「こんなに残業があるとわかっていたら、教員になりたいと思う人は減ってしまうと思う」と危惧。

また、給特法で定められた残業代の代わりの上乗せ分、月給の"4%”という数字について、なぜそうなったのか調べたそうで「教材を作り込んだり、教員という仕事はいくらでもこだわれるから残業した分だけお金をあげるのではなく、そもそも決めておこうとなったようだけど、その結果、こうなったのは本当に良くない。こだわりを持って突き詰める職業はたくさんあるなかで、なぜ教員だけがこうなるのか」と話し「(給特法は)なくなって良いと思う」と見解を示します。

最近では、警察の介入をしやすくしたり、部活動も地域と連動したり、デジタル化を推進するなど先生方の負担を軽減する取り組みが進んできてはいるものの、まず改革すべきことは何か。堀がヨッピーさんに尋ねてみると「もし始まっていたら申し訳ないけれど」と前置きしつつ「僕の親父は自分で作っていたけど、正直、テストはフォーマットを作るなどして、先生が直々に作らなくてもいいんじゃないか」と提案します。

小幡さんは「例えば、GIGAスクール構想で生徒にタブレットを配り始めたのがここ数年の話で、(採点などで先生方の負担軽減が)ようやくできるようになってきた」と少なからず環境が改善していることに触れつつ、問題点を指摘。「この1~2年で効率化させる仕組みは揃ったと思うが、現場の偉い先生方、年配の先生方が対応できていないから、若い先生方も本当はできるのに(できない先生方に)合わせられているのをすごく感じる」と事例を挙げていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

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