城郭研究家「砕導山城跡の遺構、珍しいひな壇構造」 福井県内最大級の山城、谷間にひな壇

砕導山城跡に残る遺構について講演する竹尾さん(右)=福井県高浜町宮崎の佐伎治神社

 福井県高浜町の砕導山(さいちやま)城跡の遺構に関する講演会が3月23日、同町宮崎の佐伎治神社で開かれた。城郭研究家の竹尾学さん(72)=愛媛県松山市=が講師を務め、斜面を削り段をつけるひな壇状の構造が谷間に見られる点で、全国的にも珍しいと説明した。

 砕導山城は福井県内最大級の山城で、同神社の裏山一帯に遺構が残る。若狭守護武田氏の重臣だった逸見氏の築城と考えられ、1561(永禄4)年に城主逸見昌経が起こした反乱で拠点となり、8千人が集ったとされる。

 竹尾さんは日本城郭史学会会員で、5年前から砕導山城跡を調査している。同城跡では帯状に連なる曲輪と切岸(人工的な崖)からなるひな壇のような構造が見られ「全国7千以上の城郭を見てきたが、尾根でなく谷にこの構造があるのは10カ所だけ」と説明。防御力を高め、各段を隊の1単位として統率を図る狙いがあったと推察した。

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 竹尾さんは、同様の構造が見られる福井県外の城郭についても紹介した上で「規模や保存状況からみて、砕導山城跡は代表的といえる」と指摘。今後も調査を続け、反乱時の半年間に及ぶ戦いや撤退に至るまでの経緯も探りたいとした。

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