ステップ史上最強女王・櫻井心那の“現在地”

レギュラーツアー初優勝を目指す(撮影/村上航)

◇国内女子◇アクサレディス in MIYAZAKI 最終日(26日)◇UMKCC(宮崎)◇6565yd(パー72)

「ビュンッ!」。大きい風切り音が鳴る。その素振りを見たギャラリーが驚嘆の声を上げた。

「レギュラーは予選通過がシビアで、大きいミスが命取りになる」。レギュラーツアーと下部ステップアップツアーの差をこう語るのは、昨季、ステップ史上初の年間5勝をマークして下部賞金女王に輝き、今季からレギュラーに本格参戦している櫻井心那(ここな)。

長崎県出身の19歳。2021年のプロテストで一発合格を果たし、同期には、すでにレギュラーで勝利を挙げている川崎春花や尾関彩美悠、佐藤心結らが名を連ねる。自身はルーキーイヤーの昨季、ステップでの賞金タイトルに加えて、8月のレギュラー「北海道meijiカップ」でも2位に入る活躍を見せた。

レギュラーで先に活躍を見せた川崎や尾関らについては「すごいなーとか、勇気もらったりという気持ちが80%。私もやればできる、みたいな自信をもらう気持ちが大きいので、励みになります」と喜ぶ気持ちが大きい。それでも「残りの20%は悔しい。自分はそこまでの力がないので、もどかしさだったりナーバスな気持ちはある」。今オフには地元・長崎で川崎、佐藤とともに合宿を張るなど、切磋琢磨する。

ショットの正確性が今後の課題(撮影/村上航)

ステップで経験を積み、今年1月には台湾女子ツアーの開幕戦「日立レディースクラシック」でも優勝した。しかし、3月のレギュラー開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」から2戦連続で予選落ちと苦しんだ。

3戦目「Tポイント×ENEOSゴルフ」では、以前から指導を受ける同郷の園田謙介コーチのアドバイスもあり、今季初の予選通過(29位)。「2戦目まではひどい状態だったけど、アドレスやボールの位置を修正した。このスイングに慣れてきたら良くなると思うけど、まだ自分の中で決まっていない部分もある」と試行錯誤は今も続いている。

そして迎えた今週の4戦目。「我慢する感じの展開が多かった」という2日目には、20-21シーズンの賞金女王でツアー12勝の稲見萌寧、同6勝の笠りつ子とのペアリングだった。

飛距離には自信がある(撮影/村上航)

櫻井は、稲見のプレーについて「フェアウェイキープがすごかったですし、アプローチも上手だった。今週はあまり調子が良さそうではなかったけれど、その中でもスコアをまとめていますし、バーディチャンスにもついていた。(グリーンを)外しながらもスコアをまとめていた。安定感がある」。ショットメーカー2人とのペアリングは、今の自分の“現在地”を測ることができる貴重な機会になった。

「飛距離は自信がある」という言葉の通り、ティショットは常に2人の先を行った。しかし、「フェアウェイキープ率が悪くて、フェアウェイをキープしないとバーディチャンスにもつけられないし、そこは伸ばしていかないといけない」。大会3日間を通じてのドライビングディスタンスの平均は254.667ydで全体3位に対し、フェアウェイキープ率は42.86%(18/42)で57位。ショットの正確性向上が今後の課題だ。

最終日は「71」でまとめ、通算1アンダー41位で3日間を終えた。「難しいですけど、対応できないとかはない」と、難度の高いレギュラーツアーのコースセッティングに適応するだけの自信はある。

19歳の挑戦は続く(撮影/村上航)

今は練習や試合の中でもトライ・アンド・エラーを繰り返し、学びや気付きを得る時期だ。「結果より、リズムとかスイングを大切に。良いショットが1打でも増えたらいい」。丁寧に答えるその一言一言に、強い意思を込めた。(宮崎市/内山孝志朗)

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