ロボット手術体制強化 心臓に北関東初の施術 獨協医大病院

ロボットによる心臓手術を行う獨協医大病院のスタッフ=1月下旬、壬生町北小林(同病院提供)

 栃木県壬生町の獨協医大病院は2022年度、手術支援ロボット「ダビンチ」を2台に増やし、ロボット手術の実施体制を強化している。傷口が小さく患者の負担が少ないことが特長。同病院によると、1月には心臓の僧帽弁形成手術を北関東で初めて実施した。膵臓(すいぞう)の腫瘍切除でも活用を始めたほか、ロボットを扱える人材育成も促進している。

 ダビンチは4本のロボットアームを用いて手術を行う。術者は「コンソール」と呼ばれる機器でアームを遠隔操作する。高解像度の3D内視鏡カメラを使用し視界は鮮明で、アームは人間の手よりも複雑で繊細な動きが可能という。実施には、一定の手術経験など学会の定めたガイドラインを満たす必要がある。

 同病院では12年度の導入以降、泌尿器科を中心に活用してきた。2台目を導入した22年度はさらに多くの分野で手術が可能となった。実施数は2月末時点で409件と、前年度の1年間よりすでに2割ほど多い。

 1月の心臓手術は、肺から運ばれた血液を全身に送るための僧帽弁が正常に機能しない70代男性に実施。手術で弁を修復し、2週間ほどで退院した。開胸せず器具を差し込むため、傷口が小さく、これまでの手法で課題だった術後の痛みも防げるという。

 院内で同様のロボット手術ができる医師は1人。福田宏嗣ハートセンター長は「人材の育成を進め、(患者への負担が少ない)低侵襲手術をさらに推進していく」と説明した。

 一方、膵臓のロボット手術は、悪性度が比較的低い腫瘍が対象。22年度は「膵体尾部」と呼ばれる部分を切除する手術を始め、これまでに20件行った。今後は膵がんなどより難易度の高い手術をロボットで実現することが課題という。

 同病院肝・胆・膵外科の青木琢主任教授は「相当なトレーニングが必要となる。安全に導入するために準備を進めたい」と話した。

 

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