特産のワサビ“ICTで”育てる 安定供給へ「畑ワサビ」 老舗・農業法人・通信の3者が実験に意欲=静岡市

ワサビの栽培にも情報通信技術=ICTを活用する時代が来たようです。自然災害の影響を受けず、安定的にワサビを生産する実験が2022年4月から静岡市で進められています。

すしや刺し身といった和食に欠かせない静岡の特産品・ワサビ。静岡県内では山間地で作られている沢ワサビが有名ですが、2022年の台風15号で静岡市内のワサビ田は壊滅的な被害を受けました。

自然災害の影響を受けず、安定的にワサビを供給できないか?静岡市の、以前はいちごを育てていたビニールハウスに集まったのは、わさび漬けの老舗「田丸屋本店」と野菜の生産から販売を手掛ける「鈴生(すずなり)」、通信事業などを行うNTT西日本の3者です。

異業種3者が目指すのはビニールハウスで育てる「畑ワサビ」の生産です。

<田丸屋本店 望月啓行社長>

「(沢ワサビのような)環境に限定されるものではなく、茎と葉っぱを新しいビジネスにしていこうと」

さらに、安定供給のために情報通信技術=ICTを活用します。

<鈴生 乾泰樹・静岡支部長>

「ここにコントロールパネルがあって、今の温度、風速などを管理。ワサビに関する冠水、溶液など全てを管理していて、自動でコントロールできるようになっています」

ハウス内の日射量や温度、湿度をセンサーが測定。その数値をもとに遮光カーテンや窓の開け閉め、水まきなどを自動で行い、コントロールするという仕組みです。

<鈴生 鈴木貴博社長>

「最終的にはこのシステムを静岡県内の農家が自分もやりたいと言ってもらえるような仕組みづくりをできればいいとチャレンジを進める」

静岡県内の特産・ワサビを持続的に供給するためにー。ICT技術で育てる畑ワサビは2023年6月に初めて収穫する予定で、ゆくゆくは年間2トンを出荷するのが目標です。

静岡県内のワサビの生産量は約10年で80トンほど減少。4割も減少しています。その原因として自然災害や自然環境の変化もありますが、一番の原因は深刻な後継者不足といわれています。技術でこの問題を解決できるのか?静岡県内の特産品を守るには待ったなしの状況です。

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