知ってる?「ちちぶふとり」 不揃いの繭から紡ぎだされる秩父銘仙の源流  2人のみ残る職人が「二人展」

今回の展示品の一番の大作(北村さん作)を手にする、店主の足立由美子さん

 秩父銘仙の源流の技法とされる「秩父太織(ふとり)」の継承者による展示会が28日まで、埼玉県秩父市番場町のツグミ工芸舎・百果店ひぐらしストアで8年ぶりに開催された。

 国の伝統工芸品に指定された秩父銘仙の源流となる秩父太織。不ぞろいの繭から、糸をよらない「無撚(ねん)糸」を手作業で紡ぐことで、シルク本来の滑らかな手触りと、味わい深い表情を生み出す。丈夫で日常使いしやすく、全国的にも珍しい織り物だ。

 現在は繭の製糸から染色、織り、整理まで、生地が出来上がる全工程を一人の職人が手仕事で完成させており、継承者は北村久美子さん、和田壽子さん2人のみ。さいたま市出身の北村さんは、大正初期に一度廃れた秩父太織の技術を復元させた秩父市無形文化財秩父太織生産技術保持者の故石塚賢一さんに師事。2015年に独立し、秩父市内に工房を構え、繭も希少な秩父産にこだわって使用している。

 和田さんは石塚さんの次女であり、「父の作った絹真綿マフラーの感触が良くて、自分でも作りたい。太織の糸が素晴らしいので、自分が織ることでもっと広められたら」と、06年から機織りを始めた。秩父市内のちちぶふとり工房で秩父太織の生産を続けている。

 今回の「二人展」では、マフラーやストール、ブローチや素材を中心に、オリジナルに開発した卓上織機「ORICCO」でワークショップも企画した。

 ツグミ工芸舎・百果店ひぐらしストアでは、今後も毎月1回、秩父太織を紹介する日をつくる予定。詳細や問い合わせは、同店のフェイスブックへ。

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