【特集】不登校に寄り添う〜美作高校通信制の現場から〜

「学力テストで学力向上を目指す流れの一方で、学校に来ることのできない子がいる現実がある。よく考えないといけない時期に来ている」。美作高校通信制課程の立ち上げに尽力した美作学園の藤原修己理事長(85)は、こう警鐘を鳴らす。増え続ける不登校について思いを聞いた。
―美作地域の不登校の現状をどう見るか。
勉強でいきいきしている子、運動でいきいきしている子、両方でいきいきしている子の一方、遊び時間にいきいきしている子がいる。勉強でも運動でも輝けない子や、家から出られず学校に行くことができない子を誰(高校)が拾うのか。また、学力の低い子と経済的に恵まれていない子が重なっているケースも多く見受けられ、現状は深刻だ。
子どもの「学校感」も変わってきた。「楽しくなければ行かなくていい」という子が増えており、教育は一層難しい時代に入っている。
―子どもたちへの対応は。
不登校の子は待ってあげることが大切だ。その待ち方が重要になる。子どもたちには伴走者としての先生が必要だ。通信制では「治そうとするな、分かろうとせよ」を原則に取り組んできた。
例えば23・5㌢の靴があったとする。24・0㌢の子は窮屈、23・0㌢の子には緩い。「自分の子に合わせた靴をはかせてほしい」という親の要求が多い。自分に合った靴(学校)を探すのはいいが、不登校はどんどん増えているのが現状だ。よく考えるべきだ。
美作高校としては通信制を含め、この地から高校だけは出してあげたいというのが願い。この子たちは将来的に地域を、日本を作っていくことになる。だからこそ立ち直りを支え、社会に送り出してあげたい。
―何が必要か。
学力テストも大事だが、同時に勉強嫌いな子が増えているのも間違いない。「勉強を頑張れ」という方針の裏で、勉強についていけない子が無気力型となり、不登校になっているのではないか。
津山は高校が多いまちであり、それを生かして今後の教育やまちがどうあるべきかを考え直すべき時だ。いきいきできていない子を救うのが高校の役目ではないか。不登校について地域の中学校と高校が力を合わせ、子どもたちの未来、教育に将来展望を持てる連携が必要だ。それが教育のまちの再建にもつながる。
―教育の使命とは。
子どもたちの立ち直りとともに、卒業後も大事だ。地域に根差した教育としてどこまで責任を持つか、その覚悟を強く認識しなければならない。教育とは地域社会に役立つ子どもたちを育てていくこと。地方創生、若者定住のまちづくりにつながる青少年を育成する責務を負っている。不登校への対応、手立てを改めて考える必要があり、それが地域に果たすべき責任だ。
=終わり=

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