G7サミット 核軍縮再生の機会に 長崎大・レクナが政策研究報告

「核軍縮の再生」に向けた提言などについて会見で説明する吉田センター長(右から2人目)ら=長崎市文教町、長崎大核兵器廃絶研究センター

 5月に広島市で開催される先進7カ国首脳会議(G7サミット)を前に、長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)は29日、停滞する核軍縮の動きを活発化させるための提言などをまとめたポリシーペーパー(政策研究報告)を発表した。核軍縮の専門家ら7人が外交や経済、軍縮教育などの観点から、G7首脳や市民社会の役割などについて論じている。
 ウクライナ侵攻を続けるロシアは核の威嚇を繰り返し、ベラルーシへの戦術核配備も表明。同日の会見で鈴木達治郎副センター長は「非常に危機感がある。G7を核軍縮を再生させる機会にすべき」と述べた。
 報告書で吉田文彦センター長は、G7は核保有国や「核の傘」の下にある国で構成され、広島サミットでも「核依存体質は抜本的に変わらない」と予測。中長期的視点に立ち、経済力や国際政治力を高めている20カ国・地域(G20)の新興国との連携が重要だとした。その上で、昨年11月にG20サミットが「核兵器の使用や脅しは許されない」と明記した首脳宣言をG7としても支持し、広島サミットで核使用や威嚇に「制約をかける方向へ歩みだすべき」と提言した。
 同センターの中村桂子准教授は、広島サミットの成否は首脳宣言の内容だけでなく、市民レベルで「核抑止による安全保障の是非」の議論を喚起できるかどうかだと指摘する。市民社会や被爆地は、サミットを一過性のイベントにするのではなく、一人一人が当事者意識を持って核問題について考える「核軍縮教育」促進に向けた契機にするよう提案した。
 報告書はレクナのホームページ上で公開している。


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