投票率向上へ“あの手この手” インスタ活用や「子連れ投票」を推奨 2023統一地方選

県議選投票率の推移

 長崎県議選告示まであと2日。県民生活に身近な議員を選ぶ選挙だが、投票率はほぼ右肩下がりで、前回2019年は48.02%と戦後初めて50%を割り込んだ。低落傾向に歯止めをかけようと県選管などは、あの手この手を繰り出す。大学生の視点も取り入れ、特に若者や子育て世代に向けて「意思を反映させる重要な機会」と投票を促している。
 県選管によると、県議選投票率のピークは1951年の85.62%。その後は低下傾向で推移し、95年に70%を、2011年に60%を下回った。16年に選挙権年齢が引き下げられ、18、19歳も有権者に。ただ、最近の県内選挙結果をみると、10代の投票率は▽21年衆院選(小選挙区)42.29%▽22年知事選33.33%▽同年参院選(選挙区)26.16%-と低水準になっている。
 「若い世代は自分の生活と政治とのつながりを実感している人が少ないから、なかなか投票に行かないのではないか」。そう話すのは県立大佐世保校3年の米満修平さん(21)。県内大学生らでつくる団体「県明るい選挙推進サポーター」の一員として、若者に届きやすい啓発活動を仲間と企画している。

31日から掲示される県議選投票啓発ポスター

 市町長選などを含めた今回の統一地方選では、「#長崎のミライを語ろう!」と題し、交流サイト(SNS)の中でも若い世代の利用が多いインスタグラムを活用。県内で撮った写真に未来への期待や注文の言葉を添えた投稿に対し、抽選で県産スイーツをプレゼントする。米満さんは「未来を考えることで少しでも政治に関心を持つきっかけになればうれしい」と話す。
 県議選の選挙期間中、県選管も啓発に力を入れる。初の試みとして、県内映画館で上映前にCMを放映し、長崎市内にはラッピング路面電車を走らせる。放映する大型ビジョン(電光掲示板)も増やす。
 総務省の調査によると、子どものころ保護者と一緒に投票所へ行った経験のある人は、ない人より、将来の選挙で投票に行く傾向が強い。
 そこで県選管は各市町教育委員会と連携し、小中学校のホームルームで紹介したり、各家庭にプリントを配布したりして「子連れ投票」を推奨。「新型コロナウイルス禍では投票所の密を避けるため、控えてもらっていたが、今回からは大丈夫。可能な限り一緒に行ってほしい」と呼びかけ、子育て世代の投票率向上にもつなげたい考えだ。

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