神奈川・茅ケ崎の小学校で通知表廃止 脱「優秀」へ、子どもの意識変化

茅ケ崎市立香川小の取り組みについて説明する国分校長

 子どもを能力でランク付けし、優劣意識を植え付けるものになってしまっていないか─。そんな問題意識から、神奈川県茅ケ崎市立香川小学校は2020年度に通知表を廃止した。全国的にも珍しく、試行錯誤が続く。子どもたち同士で支え合う機会が増えるなど、学校がじわじわと変わり始めている。

 香川小は全校児童が千人超の大規模校で、1~5年が5クラス、6年生は6クラス編成だ。国分一哉校長(60)は着任した18年度、2学期制による年2回の通知表を気にする児童が多いことが気になった。「きょうのテストの成績は通知表に入りますか?」と尋ねられたことがあり、日頃から評価に敏感になっている様子がうかがえた。2~3段階での評価の高低がランク付けにつながり、子どもたちの間に「上下関係」がつくり出されてしまっているようにも見受けられた。

 学習評価は教員が子どもの苦手なところを把握し、授業の改善に役立てるためにあるとされ、ランク付けするためのものではない。他の子と比較して集団内での位置を示す「相対評価」から学習目標に達したか否かを測る「絶対評価」に変わったにもかかわらず、通知表で高評価がいくつあったかだけに子どもたちが一喜一憂する光景が繰り返されてきた。

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