【メジャーリーグを知ろう!】ダルビッシュ有所属・パドレスはこんなチーム

WBC優勝後の記者会見に応じるダルビッシュ有 @Getty Images

WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で、14年ぶり3度目の優勝を果たした侍ジャパン。

大会中は本調子ではなく自身の成績こそ振るわなかったものの、チーム最年長のベテランとして、若手の多い投手陣の指導に、メジャーの打者陣との豊富な対戦経験に基づく情報提供など、あらゆる面からチームを引っ張ったのがダルビッシュ有だった。

今回はそんなダルビッシュ有が所属するパドレスについて紹介。

昨季のポストシーズンでのチャンピオンシップシリーズでの一コマ @Getty Images

◆昨季はPSでついに宿敵を撃破。引き続き”オール・イン”の今季は17年ぶりの地区優勝&初のWS制覇を。

近年のパドレスは「補強のためにはあらゆる投資を惜しまないチーム」という印象だ。2019-20年オフのFA市場でオールスター4度(当時)のマニー・マチャドを10年契約で獲得したのに始まり、翌オフは2018年にサイ・ヤング賞に輝いたブレイク・スネルやダルビッシュ有らをトレードで獲得、生え抜きの若手スター選手フェルナンド・タティスJr.との14年契約の締結にも成功と、怒涛の勢いで大型契約や大型トレードを成立させた。その後も昨季の7月に「球界最高の打者」と評されるフアン・ソトをトレードで獲得するなど、近年のパドレスの”ビッグ・ディール”は枚挙に暇がない。

左からマチャド、スネル、タティスJr.、ソト @Getty Images

それでも直近10年で9度の地区優勝を成し遂げている同地区の絶対王者・ドジャースの壁は高く、昨季のレギュラーシーズンは89勝でワイルドカードこそ獲得するも、111勝を挙げたドジャースに次ぐ地区2位に終わった。

だが、続くポストシーズンでは、ワイルドカード・シリーズでメッツを撃破すると、地区シリーズで宿敵ドジャースと再戦。初戦こそ落としたものの、その後は3連勝。3勝1敗でシリーズを制し、シーズンの雪辱を果たした。

ただパドレスの快進撃もここまで。ナ・リーグ優勝決定シリーズでは1勝4敗で敗退し、一定の結果は残すとともに、悔しさも残るシーズンになった。

そして迎えた今オフも投資を惜しまず、FA市場ではオールスター4度のザンダー・ボガーツを11年契約で獲得し、投手陣のリーダーのダルビッシュ有や野手陣のリーダーのマチャドらとの契約延長にも成功。さらにチームを強化した。

目指すは17年ぶりのナ・リーグ西地区優勝、そして球団史上初めてのワールドシリーズ制覇だ。

《注目ポイント①》
パドレスは今季こそ地区優勝を奪い取ることができるだろうか。ワールドシリーズ初制覇も期待したい。

◆マチャド、ソト、ボガーツとスーパースターがズラリ。タティスJr.の復帰も近い。

昨季の野手陣は、主砲のマニー・マチャドがナ・リーグMVP投票で2位に入る大活躍も、2021年ナ・リーグHR王で正ショートのフェルナンド・タティスJr.が故障&薬物規定違反でシーズン全休という大きな誤算があったことや、フアン・ソトがチームに加わったのは8月からということもあり、チーム総得点はメジャー13位と平均レベルの攻撃力に落ち着いた。

新加入のザンダー・ボガーツ @Getty Images

だが、今季はソトが開幕からチームに所属するのに加え、新たにザンダー・ボガーツが加入。さらに、タティスJr.の薬物規定違反による出場停止も残り20試合で明けるため、4月の下旬には1〜4番にスター選手が並ぶ超豪華打線が実現する見込みだ。なおボガーツの加入に伴い、タティスJr.は外野手に転向する。

主軸の4人以外にも、巧打と選球眼がウリのジェイク・クロネンワース、昨季はタティスJr.の代わりにショートを務めた内野のユーティリティ選手キム・ハソン、ゴールドグラブ賞2度の外野の名手トレント・グリシャムらは地味ながらも大きな貢献をする縁の下の力持ちタイプの好選手だ。さらに野手では現役最年長の42歳ネルソン・クルーズや、昨季ヤンキースで猛打を振るった36歳マット・カーペンターら経験豊富なベテランも新加入。

昨季のような誤算がなければ、メジャー30球団中トップクラスの野手陣と言えるだろう。

《注目ポイント②》
2シーズンぶりの復帰となるタティスJr.は以前の輝きを取り戻せるだろうか。初めてパドレスでフルシーズンを過ごすソトの打棒も注目。

◆三本柱は強力も続く投手の活躍がカギ。ダルビッシュの大記録にも注目。

昨季の先発陣は、ダルビッシュ有とジョー・マスグローブの2枚看板が180イニング超を投げ防御率3.00前後と安定したピッチングを見せたほか、2018年サイヤング賞の実力者ブレイク・スネルも後半戦の防御率2.19と復活の兆しを見せた。今季もこの3人がローテーションの柱になる見込みだ。

左からマスグローブ、ワカ、マルティネス @Getty Images

一方で先発4・5番手はやや不安の残る陣容だ。4番手に入ると見られる新加入のマイケル・ワカは、昨季は23先発で防御率3.32と好成績を残したものの、2021年は防御率5点台と苦しんでいた投手だ。また5番手はNPBでもプレーしたニック・マルティネス、新加入のセス・ルーゴらスイングマン(先発・リリーフ両方こなす投手)型の選手が務める見込み。この4・5番手がどれだけの成績を残せるかがチームの命運を左右しそうだ。

なお、三本柱の一角・マスグローブは開幕こそIL(負傷者リスト)で迎える見込みだが、既に実戦レベルの調整には移っている。早い段階で戦列に復帰できるだろう。

ブルペン陣の中心は球界を代表する守護神で、昨季の8月からチームに加わったジョシュ・ヘイダーだ。移籍直後の8月こそ不調を引きずり防御率19.06と大荒れも、9月には防御率0.87と本来の姿に復活。ポストシーズンでも5試合に登板し無失点と圧倒的な投球を見せた。今季はシーズンを通して安定した活躍を期待したい。ヘイダーに繋ぐセットアッパーは日本のファンにもおなじみのロベルト・スアレスだ。

ちなみに、ダルビッシュ有はメジャー通算100勝まであと5勝、日米通算200勝まであと12勝と迫っている。

十分に射程圏内の数字だが、今季中に達成することができるだろうか。

《注目ポイント③》
ダルビッシュ有は日米通算200勝の大台を達成することができるだろうか。

と、ここまでの3つのポイントに注目して、今シーズンのパドレスを楽しんでほしい。

ダルビッシュ有はもちろん、マニー・マチャドやフアン・ソト、フェルナンド・タティスJr.ら「これぞメジャー」という華々しいスター選手が多いパドレス。WBCを通して「メジャーリーガーの華々しいプレー」に興味を持った方には、ぜひおすすめしたいチームだ。

メジャーリーグ開幕は、日本時間3月31日。パドレスの開幕戦は、ロッキーズ相手に日本時間5:10にプレイボールの予定だ。

ちなみに、パドレスからは、下記の10名がWBCに出場していた。

オランダ:ザンダー・ボガーツ(内野手)
イタリア:ブレット・サリバン(捕手)
日本:ダルビッシュ有(先発)
韓国:キム・ハソン(内野手)
アメリカ合衆国:ニック・マルティネス(先発/救援)
コロンビア:ナビル・クリスマット(先発/救援)
ドミニカ共和国:マニー・マチャド(内野手)、フアン・ソト(外野手)、ネルソン・クルーズ(指名打者・代表チームのGMも兼任)、ルイス・ガルシア(救援)

© 株式会社SPOTV JAPAN