【速報】カルテルで独禁法違反 課徴金最多707億円の中国電力 会長と社長が引責辞任

大手電力会社が、自由競争を阻害する「カルテル」を結んでいたとして、公正取引委員会はあわせておよそ1010億円の課徴金の納付などを命じました。このうち課徴金額がおよそ707億円と最も大きかった中国電力は、きょう(30日)会見を開き、瀧本夏彦社長が陳謝しました。そして、清水希茂 会長と、瀧本夏彦 社長が責任をとり、6月の株主総会をもって、退くと明らかにしました。

公正取引委員会によりますと「中国電力」「中部電力」「九州電力」などと「関西電力」は、企業向けなどの電力販売が自由化されているにも関わらず、お互いのエリアで営業しないよう「カルテル」を結んでいたということです。

公正取引委員会は独占禁止法に違反したとして、関西電力を除く各社に中国電力の707億円あまりなど、あわせておよそ1010億円の課徴金を納付するよう命じました。さらに、再発防止を求める排除措置命令も出しています。

「関西電力」は違反を自主申告したため、処分を免れています。

中国電力 瀧本夏彦 社長
「本件により、会社への信頼が失墜し、巨額の課徴金を課せられる事態を招いたことについて、極めて厳しく受け止めておりまして、会長の清水と、そして、私、瀧本は、6月の株主総会開催日をもって、退任することといたします」

中国電力は、2017年11月ごろ、関西電力から中国エリアでの営業活動を開始するという連絡が来て以降、関西電力との間で複数回にわたって営業活動に関する意見交換や情報収集活動を行う中で不適切なものがあったこと、中国地方の一部の官公庁施設に係る電力入札(計5回)において関西電力への不適切な行為があったことなどをあげ、社内調査の結果、「独占禁止法への抵触を疑われてもやむをえない面があった」と受け止めていると明らかにしました。

原因については、旧一般電気事業者との間では、主に電力の安定供給という共通の目的を達成するため、電力自由化以前は、広く情報交換を行うなどの協力関係があったこと、電力自由化後における役員・社員の意識改革が十分でなかったことなどをあげています。

再発防止策としては、社外取締役の増員などによる経営の客観性・透明性の向上のほか、コンプライアンス最優先の業務運営の徹底、定期的な研修の実施、内部通報窓口の活用などをあげました。

中国電力は新たな経営陣の下で、企業再生と信頼回復に注力するとしていて、新しい会長には 芦谷茂 副社長が、社長には 中川賢剛 常務がつく人事を、きょう(30日)の臨時取締役会で内定したということです。

各社の課徴金額は以下の通りです。
中国電力 707億1586万円
中部電力 201億8338万円
中部電力ミライズ 73億7252万円
九州電力 27億6223万円

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