手に汗握らない金額で始める、分散投資…投資を始める人が押さえるべき5箇条

大学入学や社会人になる、転職するなど新年度をきっかけに新たな生活が始まる方も多いでしょう。そして、新たな生活をきっかけに投資デビューする予定の方もいらっしゃるかもしれません。

今回はそうした方向けに、投資を始める上でぜひ押さえていただきたい基礎となる5つのポイントをご紹介します。


1. 投資は手段と心得る

投資は夢や目標を叶えるため、幸せに過ごすための手段のはずです。夢や目標から逆算して自分にはいつ、どのくらいのお金が必要なのかを逆算して投資を始めましょう。それをしないで投資を始めてしまうと、不必要なハイリスクをとったり、投資にのめりこみ過ぎてしまったりする危険性があります。

2. 手に汗握らない金額で始める

筆者は「手に汗握らない金額」で投資を始めることをお勧めしています。投資を始める前は「大きな損をしたらどうしよう」という怖さがあります。そして実際に、マーケットの状況や投資手段によっては大きな損が出る可能性もあります。最も良くないのはそうした考えを抱いたときに「やっぱり投資は怖いもの、自分には向いていない」と考えて投資をやめてしまうことです。

投資は適切な方法で長く続けることで、プラスのリターンにつながる可能性が高まります。投資をはじめない、または途中で辞めてしまうことはとてももったいないことです。途中離脱を防止するためにも、皆さん自身が「この金額なら大きく下げても気にならない」と思える少額から投資を始めて慣れていきましょう。

3. 分散投資を行う

投資を始める際は、分散投資を行いましょう。分散投資とは、投資対象を1つにせず、ある程度複数に分散して行うことです。一般的には、国内株式・国内債券・海外株式・海外債券の4つの資産クラスに分散して投資するのが無難です。

投資の世界には「卵を1つのかごに盛るな」という格言があります。かごを落としてしまったとき(=投資対象にトラブルが発生したとき)に1つのかごに全てを盛っていると取り返しがつかなくなることから、分散投資の大切さを教えています。

4. 投信積立を活用する

これから投資を始める方は、まずは投資信託を活用するのが良いと思います。投資信託とは、多くの投資家から資金を集めて、まとまった資金で投資を行い、投資家ごとの出資分に応じて損益を受けとる仕組みの商品です。この商品を活用すると、上述した分散投資が少額から実現できます。例えば、日経平均に連動する投資信託を購入するとそれだけで日経平均に採用されている225銘柄に分散投資をしているのと同じ効果を得ることができます。その他にも例えば米国のS&P500やNASDAQ総合指数に連動するもの、債券指数に連動するものなどたくさんありますのでこれらを組み合わせて手軽に分散投資を実現できます。

また、投資方法としては積立投資を行うのがお勧めです。積立投資とは定期的に決まった金額で買付を行う投資手法で、例えば「毎月1回決まった日に3万円分この投資信託を購入する」といった設定が可能です。積立投資のメリットはいくつもありますが、その中の1つが「無理なく投資を続けられる仕組みとなる」ということです。

投資をしていると、評価損が拡大したときや他のことにお金を使いたいときなど様々な「投資をやめるための誘惑」に駆られることがあります。そうしたときに投資をやめてしまうのはとてももったいないことなので、ぜひ積立投資の枠組みを活用して投資を長期的に継続していただければと思います。

5. コストは低く!

投資を行う上ではできる限りコストを低くすることを意識しましょう。例えば投資信託では、購入時にかかる「申込手数料」や保有している限り負担することになる「信託報酬」が主なコストとなります。最近は「申込手数料」は無料のネット証券やネット銀行等が多くありますので活用しましょう。

「信託報酬」は同じ投資信託であればどの金融機関で購入しても同率ですが、長い期間投資信託を保有するとパフォーマンスに大きな影響があるので、ご自身が投資されたい投資対象に投資している投資信託の中から、できる限り低いものを選ぶようにしましょう。信託報酬が投資損益に与える影響について、以下のグラフを作成しました。

運用損益の影響がないと仮定すると、信託報酬が0.5%の場合は20年後の元本100が90程度ですが、信託報酬が2%の場合には65近くまで下がっています。つまり35程度がコストとしてかかっていることになります。もちろん現実には運用損益があるので、コストが高い投資信託のほうがパフォーマンスは良くなる可能性もありますが、少なくともこれほど大きな違いが出るというのは認識しておくべきでしょう。

これまで投資デビューする方にぜひ押さえていただきたい5つのポイントを見てきました。これらのポイントを意識していただければ、投資で大やけどをする可能性を低くすることができると思います。2024年から新NISA制度がスタートするなど、投資を行うメリットはますます増えてきています。ぜひ適切な方法で投資デビューし、資産形成を実現していただければと思います。

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