【統一地方選】神奈川県議選12選挙区で無投票 議員なり手不足深刻 3回連続の選挙区も

無投票で当選が決まり、支援者と万歳をする立憲民主党の岸部都氏(左から2人目)=31日午後5時40分ごろ、横浜市南区

 31日に告示された県議選では全47選挙区のうち4分の1に相当する12選挙区で無投票となり、総定数105の2割弱に当たる18人が有権者の審判を経ずに議席を得ることになった。3回連続で無投票となった選挙区もあり、地方議員のなり手不足の深刻さを浮き彫りにした。12選挙区で133万人余りが一票を行使することができず、民主主義の根幹が揺らぐ事態になっている。

 「選挙戦を通じて評価を頂きたかったが、自分ではどうしようもない」

 3回連続で無投票となった三浦市(定数1)。3期目の当選を果たした自民党の石川巧氏に高揚感はない。初当選から無投票続きで、選挙運動は告示日のみ。公選法上の強制合区の対象となったが、「特例選挙区」として残された経緯もある。隣接する横須賀市は定数が1減の4になり、7人がしのぎを削る激戦区となっている。対照的な状況に「政策を多くの人に伝えたかった」と話す。

 同様に横浜市西区(同1)も3回連続で無投票。横浜駅やみなとみらい21地区などがある横浜の中心だが、無投票が定着している。5期目を決めた同党の加藤元弥氏は「有権者に名前を書いてもらえないことが続いている。選挙戦の準備に力を入れてきただけに不完全燃焼だ」と話した。

 やはり横浜の中心に位置する同市南区(同2)では初の無投票となった。立憲民主党の岸部都氏は同区の事務所で「皆さんの負託を頂いたことに変わりはないと思う。これまでと同じように地に足を着けて働きたい」と4期目への決意を新たにした。3期目を決めた自民党の新堀史明氏も「また県議会で仕事をさせてもらえることに喜びを感じる」とする一方で、「議員のなり手不足が都市部にまで及んでいるということ。県議会として重く受け止め、民意をくみ取る方法を考えなければならない」と語った。

 有権者も複雑な胸の内を明かす。横浜市西区の男性会社員(49)は「無投票は残念。政策で投票したかった」とし、「野党が選択肢を示す必要がある」と注文を付けた。同市南区の男性会社員(58)は「無投票で当選した議員には、投票で選ばれた人以上に働いてほしい」と求めた。

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