「借金がいくらあるかわからない」リボ払いに苦しむ5人家族の主婦。カード地獄を抜け出すには?

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、45歳、専業主婦の女性。生活費の支出が多く、クレジットカードの分割払いやリボ払いを多用してしまい、借入がどれほどあるかわからない状況とのこと。この状況から抜け出す道は? FPの秋山芳生氏がお答えします。


専業主婦です。夫は会社員で、子供は3・4・6歳の5人家族です。

収入より支出のほうが多くて家計が回っていません。カードの支払いが多く、カードもリボや分割にして払っているので、借金がどれくらいかわかっていません。この状況を抜け出すには何から手をつければ良いでしょうか?

【プロフィール】

・女性、45歳、専業主婦

・夫42歳、会社員 ・子ども:3歳、4歳、6歳

・住居の形態:持ち家(戸建て、大阪府)

・毎月の世帯の手取り金額:30万円

・年間の世帯の手取りボーナス額:120万円

・毎月の世帯の支出の目安:35万円

【毎月の支出の内訳】

・住居費:7万5,000円

・食費:5万円

・水道光熱費:3万円

・教育費:4万円

・保険料:1万円

・通信費:1万円

・車両費:1万円

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:?円

・現在の貯金総額(投資分は含まない):?円

・現在の負債総額:3,500万円

秋山:ご相談いただきありがとうございます。ファイナンシャルプランナー兼FP YouTuberの秋山芳生です。今回のご相談は40代の大阪に住む専業主婦の方からです。毎月の収入より支出の方が大きく、家計が回っていないようです。また、カード利用やリボによる分割払いがあり実態が掴めていない模様。どのように対応していくべきかを一緒に考えていきたいと思います。

借金の全体像を把握する。リボ払いを早く終わらせるには?

まず借金の全体像を把握することが重要です。

リボ払いは、聞こえは良いですが、年率15%前後の手数料が発生する立派な借金です。例えば30万円のリボ払いの残高がある場合、毎月1万円ずつ返済しても30カ月では返済は終りません。まず金利の返済をしていくので、元金の返済は遅くなり、完済するまでおよそ39カ月かかります。最終的には合計で約37.5万円払わなければなりません。

また、1万円返済しているつもりでも、クレジットカードを新た使っていれば返済は滞ります。払った1万円は新たな購入物の支払いにまわり、リボ払いの返済が小さくなってしまうからです。

これでは、いくら返済しているかがわからないので、返済計画も立てられません。リボ払いを早く終わらせるためには、そのカードでは新たな買い物をしないことが重要です。

プリペイドカードを利用してクレジットカードを使わない

現在のネット化が進んだ社会ではクレジットカードを使わない生活は難しいかもしれません。その場合はプリペイドカードを利用すると良いでしょう。プリペイドカードであれば購入の前に現金からチャージする必要があるので、借り入れが膨らむことはありません。プリペイドカードとクレジットカードを使い分けて、リボ払いをしているクレジットカードで新たな購入がなければ借金の返済が明確になるでしょう。

複数のクレジットカードを使いリボ払いをしていると、全体像を把握するのはさらに難しくなっていきます。その場合は、金利の高いものから返済を優先するのが鉄則になります。優先順位を確認して返済していきましょう。

13万円が使途不明金に。家計把握をしっかりしよう

借金の無い生活ができるようにするには、支出改善が大切です。しかし、闇雲に節約しようとしても非効率だったり、無理がたたってリバウンドしたりすることがあります。まずは、どこにいくら使っているかを把握してから、使いすぎているポイントから効率的に改善していく方が良いでしょう。

手書きで家計簿をつけるのが難しければ、家計簿アプリなどをうまく活用して自動的に家計管理できるように設定していきましょう。クレジットカードやプリペイドカードの支出データを自動的に読み込んでくれる家計簿アプリであれば総資産の把握や、毎月の支出も簡単に確認できます。

現状では毎月35万円の支出の内訳が曖昧になっています。食費や光熱費、教育費など顕在化している支出を合計しても22.5万円にしかならないので、約13万円が「使途不明金」になってしまっています。

家計改善のポイントは固定費。まずはローンの見直しを

家計改善は、固定費の見直しが重要です。固定費は見直しができると、その後無理なく継続できるので長期的に節約効果が高くなります。主な固定費には、住宅費、保険料、通信費などがあります。

住宅費は人生の中でもっとも大きな支出の一つです。3,500万円の借入があるのは「住宅ローン」があるからだと思いますが、この住宅ローンも金利が高ければ他の金融機関に借り直しをしたり、現在借りている金融機関に交渉して金利を下げてもらえる可能性もありますので、見直しをすると良いでしょう。

残債が1,000万円以上、返済期間が10年以上で、0.5%以上の改善が見込めれば借り換えした方がよい場合があります。現在の金利を確認の上、他の金融機関での借り換えを検討するとよいでしょう。その際、借り換えの手数料や登記費用、印紙税などの費用がかかるので、「借り換えコスト」を考慮した上でも総額が安くなるかを考えてみましょう。

なお、クレジットカードのリボ払いの残高が多いと住宅ローンの借り換えなどもできない場合があります。まずは、リボ払いを完済してから行動してください。

保険を見直し、過度な保障は削減を

現在1万円の保険に入っていますが、削減できる可能性があります。ご相談者様の状況で必須な保障は、夫の死亡保障だけです。そして、必要な保障額については、お子さんが社会人に近づくにつれて年々少なくなっていきます。

例えば、今は数千万円の保障が必要でも、お子さんが大学生になって、あと数年の生活を保障できる貯金があれば数百万円で済むようになる可能性もあります。夫に万が一のことがあった場合、住宅ローンは団体信用生命保険によりなくなります。また、遺族年金などの制度もあります。夫亡き後の生活費や、いざとなれば妻も働きに出ることを考えれば過度な保障は不要です。一番下のお子さんが社会人になるまでの期間、月に10万円ほどの保障が出る保険で十分でしょう。

まず借金の返済。そして、学資・老後資金をどうつくるか?

まず、借金のサイクルから脱出することが最優先です。家計を把握し支出を減らすとともに、家に売れるものがあれば売却していきましょう。本・衣服・靴・家電などなど、査定に出すと意外に売れるものはあるかもしれません。家の中にある無駄を減らしていくと「不要な買い物」がわかるようになります。これによって支出改善につながるケースもあります。

借金返済のあとは、お子さんの教育資金や老後資金も貯めていく必要があります。現在は教育費が4万円と大きな比率を占めていますが、見直しの対象にした方がよいと思います。現在貯蓄ができていないということは、将来の学費などが貯まっていません。「今」も大事ですが、「将来」も大事ですので、お子さんの教育費を今と未来にバランスよく振り分けていく必要があります。

また、現在はお子さんが3人とも小学生前ということで、なかなか働きに出るのも難しいかもしれませんが、共働きも検討されると良いと思います。お子さんの年齢が3歳以上であれば保育の無償化も進んでいます。保育園にお子さんを預けて働きに出る選択肢も考えてみてはいかがでしょうか?

現在では共働き世帯は片働き世帯の2倍以上になっています。社会保険料や税金の増加、インフレなど社会情勢の影響も受けて、家計がかなり厳しくなっていることも要因だと思います。

このご時世に、今までの生活スタイルでは現状打破が難しいと考えたら大きな変化が必要かもしれません。以上、参考になれば幸いです。

© 株式会社マネーフォワード