日本発「うま味」の活用で2割以上の減塩が期待、東京大学が分析

東京大学大学院の野村周平特任助教らの研究グループは、日本発の「うま味」には、成人における1日あたり食塩摂取量に対し、22.3%もの減塩インパクトが期待できること明らかにした。

日本人は他国と比べ食塩の摂取量が多いとされる。政府は2023年までに日本人の1日の食塩摂取量の平均値を8gに減らすことを目指しているが、最新データ(2019年)では、平均食塩摂取量10gを超えており達成は難しい。

これに対し、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸に代表される「うま味」成分を塩分代替物として利用することが、健康的で自然な食塩削減方法として広く提案されている。「うま味」は、古典的な4つの味(塩味、甘味、苦味、酸味)に加え、日本の科学者が1908年に発見した第5の味だ。

研究グループは、日本において様々な食品中の食塩相当量(ナトリウム)をおいしさが損なわれない程度に「うま味」成分で置き換えた場合のインパクトを国民健康・栄養調査のデータにより評価した。

その結果、楽観的なシナリオ※では、成人1日あたりの食塩摂取量(ナトリウムから換算した食塩相当の摂取量)は22.3%の削減が期待できた(10.0g から 2.2g減)。世界保健機関が推奨する1日あたりの食塩摂取量 5g の達成率は、現在の2.8%から最大で7.6%、さらに国民健康づくり運動「健康日本21(第二次)」で推奨される国民1日あたりの食塩摂取量の平均値8gの達成率も、28.7%から59.7%へ上がると推定された。

「うま味」は日本の食文化を支える重要な味覚で、世界的にも「UMAMI」と呼ばれ認知されつつある。今回の研究成果は、世界に蔓延する様々な慢性疾患に対応する方法として、日本発の「うま味」の可能性を示す新たなデータを提供するものとしている。

※食品群の一部に既に減塩食品が流通していると認識した上で、うま味成分を利用した製品により減塩食品が市場100%シェアにまで上がるとした仮定したシナリオ。

論文情報:

【BMC Public Health】Modelling salt intake reduction with umami substance’s incorporation intoJapanese foods: a cross-sectional study

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