【寄稿】仕置人に期待する(WEB版)/大﨑一万発

京楽のスマパチ第一弾、『e必殺仕置人』が話題です。まさに「次世代」の遊技性を体験できると評判の新筐体と新ハンドルは、エヴァ咆哮をも超える期待感を抱かせてくれます。昨今はデカ筐体問題で槍玉に上げられることも多かった京楽ですが、その実スマパチ化へ向け周到な準備を進めていたわけです。悪口の最前線に晒された関係者の皆様、心よりお疲れ様でしたと申し上げたい。捲土重来の大ヒットをお祈りしております。

もちろんスマパチですからビジュアルや操作性のみならずスペック面の向上も見逃せないところで、新搭載の「Cタイム」は、1回転完結約20%でラッシュに突入する+αのチャンスゲーム。概要を見る限りは新味に乏しい「ただの運ゲー」なのですが、これがいざホールで脳を焼かれる体験をしてしまったら、もうP機なんてやってられなく……なるのかわかりませんけど、やっぱり「より出る」パチンコが打てるのは何物にも代え難い魅力。まるまる20%でラッシュ出玉が上乗せされるスペックが尖らないわけがなく、ランキング上位は当然のようにスマパチが占めることになるでしょう。

と、思惑通りに仕置人やそれに続くe機が大ヒットしたとして、ならばP⇄S構成を大胆に模様替えできるのもスマート遊技機の大きな先進性です。極端な話、一夜にしてスロ専がパチ専へ新生することだって可能なわけで、ホールづくりの根幹もが大きく変わりそうです。折しも広告規制緩和のガイドラインが発出され、全国的に各種PR文言や出玉ランキング等の掲示が認められる絶好のタイミング。訴求チャンスが広がるとともに、社長のカネの使いどころ、店長の腕の見せどころでもあります。アイディアが営業に直結する環境が整備されつつあるのはプレイヤーとしても喜ばしい傾向で、台そのもの以上に運用や自前イベントを競って盛り上げていた「あの頃」が戻ってきそうな期待までしてしまいます。

一方で中小ホールからは、怨嗟の声も少なくありません。いくら希望の星だとて、スマート遊技機が救ってくれるのは、次世代を向いた前向きな、ドライに言うならカネを出せるホールだけです。格差はより広がるだろうし、むしろ青息吐息のホールに引導を渡すきっかけとなるやもしれません。長らく業界に親しんできた身としては耐え難い問題ですが、しかしやはり、抗いきれない社会構造の変化に襲われる中、従来通りの考え方ややり方でみんなが残っていくのは無理だという厳しい現実に直面しているということです。そもそもパチンコ遊技そのものがアナクロ認定寸前なわけで、いい加減に特殊な業界だとか、パチンコ村などという自虐を装った特権意識は捨てなきゃいけないし、特殊を言い訳にしたグレーな手法も厳しく糾弾されるべきです。でないと「当たり前」にはなれませんよね。

当たり前に考えを進めていけば、今後パチンコ・パチスロが戦うのは世界基準のエンターテインメントの舞台へと移っていくのは自明であり、当たり前の商売として開かれ、当たり前の企業と当たり前に戦えない産業に、次世代もクソもないだろうよと普通の人は当たり前に考えるでしょう。僕自身、業界の特殊を愛し時に利用し、腐れ縁を切れずにいるパチンカスですが、それじゃ理解されないだろうしおそらく未来もないと想像できるぐらいには正気です。世界中のあらゆる階層とジャンルにおいて再構築が進むグローバル化の渦に、パチンコ業界も飲み込まれたわけですが、否も応もなくそうなっちゃったんだし止められないのだからグダグダ言わずに適応するしかないでしょって、それこそ当たり前の話でもあります。

3月1日、老舗メーカーの西陣が廃業を発表しました。誰のせいでもなくこれも時代だと無力感と共に見送るしかありませんが、その無念を成仏させるのは後に残った我々の役割です。僕は西陣の羽根モノ、魔界組やおジョーズランドの役モノとゲーム性にハメられてパチンコを好きになったオールドファンです。30年を経て、若い世代に向けたその役割を担ってくれるのがスマパチであってほしい。仕置人も、ルパンも聖闘士星矢も、悪口なしにブッ込める出来であってほしい(心から!)。4月の導入を心待ちにしているまんぱつです。

■プロフィール
大﨑一万発
パチプロ→『パチンコ必勝ガイド』編集長を経て、現在はフリーのパチンコライター。多数のパチンコメディアに携わるほか、パチンコ関連のアドバイザー、プランナーとしても活動中。

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