レクサス、バッテリーEV専用モデルの新型『RZ450e』を発売。同時に『UX300e』も一部改良

 2019年に発表した電動化ビジョン“Lexus Electrified”に基づき、HEV、PHEVなど電動モデルの投入を加速させているレクサスが、フル電動のバッテリーEV(BEV)専用車種となる新型『RZ』を発表。その『RZ450e』にはおなじみのトリムとなる“Version L”に加え特別仕様車の“First Edition”を含め、3月30日より発売開始となっている。また、同日には既存モデルとして先行する『UX300e』にも一部改良が施された。

 レクサス初のBEV専用モデルとして、専用プラットフォーム『e-TNGA』を採用した新型RZは、BEVを軸とするブランドへの変革の起点となるモデルに位置付けられる。これにより、バッテリーやモーターの最適配置による理想的な慣性諸元や、軽量かつ高剛性なボディの実現により車両の基本性能を大幅に進化させるとともに、電動化技術を活用した四輪駆動力システム“DIRECT4”の採用などで、より人とクルマが一体となった気持ちの良いドライビングフィールをもたらされるという。

 注目の駆動力配分制御は、フロントで150kW(204PS)/266Nm、リヤは80kW(109PS)/169Nmを発生するモーター出力に対し、車輪速センサー、加速度センサー、舵角センサーなどの情報を用いて、前:後=100:0~0:100の間で駆動力を制御し、発進加速性や操縦安定性の向上、低電費に貢献。発進時などはピッチングを抑制しつつ、コーナーでは車速、舵角などの情報を用いてステアリングの切り始めにはフロント寄りの駆動力配分(75:25~50:50)、コーナー脱出時はリヤ寄りの駆動力配分(50:50~20:80)とするなど、ドライバーの感性に寄り添った走りが楽しめるという。

 さらに動的な質感向上に向け、前後独立油圧制御による前後回生協調が可能な新加圧ユニットを採用したブレーキや、ボディにはラジエーターサポート部の補強やV字状ブレースの追加、タワーバーとフェンダーブレースの採用やロアバック部の補強に加え、グレードにより前後にパフォーマンスダンパーを設定することで無駄な動きを軽減し、よりダイレクトな応答性がもたらされる。

 その上で、レクサスおなじみのレーザースクリューウェルディング(LSW)や構造用接着剤、レーザーピニング溶接技術を積極的に採用。電費に大きく影響する空力性能にも配慮し、床下もアンダーカバーをフラット化することで空気抵抗を低減させながら、BEVの特徴を最大限活かした低いフードデザインやフロントグリル開口の最小化に加え、グリルシャッターも採用された。冷却風を必要としない場合、シャッターを閉じることにより空気抵抗を低減することができる。これらによりJ-WLTCモードで約494km(20インチタイヤ装着車)の航続距離を実現している。

インテリアはカウルからドアへの連続感ある全体造形に、低く配置したインパネを組み込むクリーンな造形に
特別仕様車には、専用の印字が入ったステアリングを装備(上)。BEVの特徴を最大限活かした低いフードデザインやフロントグリル開口の最小化に加え、グリルシャッターも採用する

■一部改良のUX300eは新電池パックの採用で航続距離が40%アップ

 そんなレクサス初のBEV専用モデル発売を記念し、全国500台限定で用意される“First Edition(ファースト・エディション)”は、特別仕様車専用の配色を施した2種類のバイトーンボディカラーをはじめ、大径タイヤの四隅配置を強調する専用ブラック塗装ホイールを装着。インテリアでは、ステアリングホイールへ特別仕様車専用の印字をセンターコンソール部に専用のプレートをあしらいつつ、オラージュとブラックの専用カラー配色により、通常モデルとは異なる特別感のあるコーディネートとした。

 そして2018年の登場から遅れること2年、ラインアップ最小の『UX』に追加されていた“ブランド初”のBEVである『UX300e』は、今回の新型RZデビューに合わせて一部改良が施され、新たに開発された電池パックの導入により電池容量が従来の54.4kWhから72.8kWhに増強された。これによりWLTCモードの航続距離を従来型比約40パーセント伸長する512kmとするなど、BEVとしての基本性能の進化を実現している。

 また走りの面でもリヤに標準装備のパフォーマンスダンパーに加え、ボディのスポット溶接打点を20点追加することで剛性を強化。電池パックの床下配置によるBEV特有の低重心パッケージの基本性能の高さをさらに引き上げるべく、EPSやアブソーバーの最適化を図り、すっきりと奥深い走りに進化したという。

 さらにV2H(Vehicle to Home)への対応や、予防安全技術のLexus Safety System+も機能拡充され、また大型化/高解像度化したタッチディスプレイを搭載した最新のマルチメディアシステムを採用するとともに、インストルメントパネル、及びコンソール周辺の形状やスイッチレイアウトが最適化された。その他にもType-Cの充電用USBコネクタをコンソール前方に2個新たに設定するなど使い勝手を向上させている。

 この2台の発売に合わせ、充電環境の拡充や販売店サポート体制の強化により、BEVにまつわる不安を低減する専用サービス“LEXUS Electrified Program”も立ち上げられ、ユーザーを幅広くサポートする体制が整えられた。その新型『RZ』の価格は“Version L”が880万円、同“First Edition”は940万円に。そして2種類のトリムが設定される『UX300e』は、630~685万円(いずれも税込)となっている。

“ブランド初”のBEV『UX300e』は、新たに開発した電池パックの導入により電池容量を54.4kWhから72.8kWhに増強している
この2台の発売に合わせ、充電環境の拡充や販売店サポート体制の強化により、BEVにまつわる不安を低減する専用サービス”LEXUS Electrified Program”も立ち上げ、ユーザーを幅広くサポートする体制が整えられた

新型『RZ』特設サイト:https://lexus.jp/models/rz/worldpremiere/
『UX』車両情報:https://lexus.jp/models/ux/

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