沖縄県がハラスメント対策強化 指針改定、積極調査へ 休職・離職防ぐ

 沖縄県は2023年度、県庁内の「ハラスメント防止に関する指針」を改定し、対策を強化する。現在はハラスメント相談者の了解を得た上で、行為者や同僚に相談者の身分を明かして事実関係を調査するため、調査を求めず人事異動を希望する例が多かった。対策の実効性を高めるために正規・非正規職員問わず対象となる指針を改定し、本年度から相談者の了解を得なくても積極的に調査する方針だ。部下が上司にハラスメントを指摘しやすい環境づくりも検討する。

 近年、職員からのハラスメント相談件数は毎年10~20件程度あるが、ハラスメント認定件数は例年1~2件にとどまる。19年度のパワハラとセクハラの相談件数は計23件、20年度は計15件、21年度からはマタニティーハラスメント(妊娠・出産を巡る嫌がらせ)も含めて計12件だった。県は対策を強化し、職員の離職や休職を防ぎ、事務の効率化を図る狙いだ。

 県は22年度から職員のハラスメント相談に外部の社会保険労務士を同席させ、調査の客観性を高める仕組みを導入したほか、ハラスメントに関する動画を視聴してもらった上で全職員を対象としたアンケートを実施した。結果を基に今後のハラスメント対策を講じる。県人事課の担当者は「これまではハラスメント疑いの上司の自覚が薄い場合もある中、チェック機能が働いていなかった面もあった。相談者からの訴えに頼るのではなく、組織として積極的に対応していく」と話した。

 玉城デニー知事は3日にあった幹部職員の定期人事異動発令式で「昨今はいわゆるハラスメント問題がこの県庁の中でも時折対策を求められる。若い職員と積極的にコミュニケーションを図り、皆さんも日々の研さんに励み、さらなる能力向上に努めてほしい」と呼びかけた。(梅田正覚)

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