いつどこで だれが始めたマスターズ/今さら聞けないマスターズの“マ”(1)

◇メジャー第1戦◇マスターズ 事前(3日)◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)◇7545yd(パー72)

4月6日(木)にジョージア州のオーガスタナショナルGCで「マスターズ」が開幕します。松山英樹が2021年に優勝した大会は、男子ゴルフの世界最高峰のトーナメント。いまさら他人に聞けない基本をコッソリおさらいします。

メジャーってなんだっけ

1930年に当時のメジャーを全制覇=グランドスラムを達成したボビー・ジョーンズ(Getty Images)

マスターズは「全米プロ」、「全米オープン」、「全英オープン」と並ぶ、男子ゴルフのメジャー大会のひとつ。4つの中では最も歴史が浅く、1934年に始まりました。開催時期は毎年4月の第2週。メジャーでは唯一同じコース、オーガスタナショナルGCで行われます。

そもそも、メジャーとは何ぞや? 歴史の長さと格式の高さを誇る大会として、もともとは米国の「全米オープン」「全米アマチュア」、英国の「全英オープン」「全英アマチュア」がそう呼ばれていました。20世紀半ばのプロ(職業)ゴルファーの台頭を経て、男子は現在の4大会に。

女子は笹生優花が優勝した「全米女子オープン」、渋野日向子が制した「AIG女子オープン」(全英女子)を含め5大会あります。各試合に高額賞金がかかり、好成績を残した選手は世界ランキングの大きな浮上なども望めますが、メジャー大会優勝というタイトルはお金には代えがたい、競技ゴルフの栄誉の頂点とも言えるのです。

アメリカのスターがつくった

マスターズの会場オーガスタナショナルGCにはボビー・ジョーンズの小さな像があります(撮影/田辺安啓(JJ))

さて、マスターズ。20世紀のはじめに活躍したボビー・ジョーンズという伝説的なゴルファー(球聖=きゅうせい、というニックネーム)が、クリフォード・ロバーツという投資家と組んで、気心知れた選手が集まる試合の構想を練りました。弁護士でもあったジョーンズはアマチュアとして生涯を貫き、当時のすべてのメジャーで優勝、まさに“文武両道”で多くの人から尊敬を集めたスターでした。やはり、プロゴルファーの身分が今より低かった時代の話です。

ジョーンズの墓はアトランタにあります(撮影/田辺安啓(JJ))

試合をするにはゴルフ場が必要。ジョーンズは故郷のジョージア州アトランタから東へ280km、オーガスタという小さな町の果樹園に新しいコースをつくります。英国の設計家アリスター・マッケンジーの協力を得てオープンしたのが、このオーガスタナショナルGC。大都市とはかけ離れた片田舎に、今では世界で最も美しいと言われるコースのひとつがあるのです。

ところで、「マスターズ」という名前は後付けで、最初は「オーガスタナショナル インビテーショナル トーナメント」としてスタートしました。世界の“マスター”を集める――というロバーツたちの提案で1939年に改名したのですが、ジョーンズは当初「そんな、大げさな…」と少々気後れしていたそうです。

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