地元が反対、国も見直しを勧告…小川のメガソーラー事業、FIT認定失効 固定価格で売電できず、採算性厳しく

小川のメガソーラー事業、固定価格買い取り制度の認定失効

 地元住民などから反対運動が起きている埼玉県小川町の大規模太陽光発電(メガソーラー)事業を巡り、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)の認定が失効となったことが4日までに分かった。一定の価格での買い取りが保証されなくなり、採算性が危ぶまれることになる。

 事業は小川エナジー合同会社(寄居町)が小川町内約86万平方メートルで約4万キロワットを発電する計画。生態系などの観点から地元の反対に遭い、国も見直しを勧告していた。

 FIT制度では未稼働案件が多く、稼働時に利用者負担が増大する懸念から、進展のない案件は失効する制度が昨年設けられた。同社は猶予を得るため着工申し込みを行ったが、要件となる林地開発許可を県から得ていなかった。

 県議会は3月に着工申し込み要件を確認するよう国に求める意見書を採択。林地開発許可を担当する県森づくり課によると、経産省から許可の有無に関する照会が3月中にあった。同社からは許可の申請も受けていなかったという。

 事業に反対する市民団体「比企地域の太陽光発電を考える会」の小山正人代表は「採算が取れないのは確実で、一歩前進だが、他の開発が始まったら問題だ。あの土地をそのまま次の世代に渡したい」と話した。

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