タクシー運賃3年ぶり値上げへ 燃料費高騰受け栃木県内業者 12月改定目指す

JR宇都宮駅西口のタクシーの停車場

 燃料価格の高騰などを受けて栃木県内のタクシー業者が、2020年以来3年ぶりとなる運賃の引き上げ申請を検討していることが5日までに、県タクシー協会への取材で分かった。初乗り運賃を現行の「1.1キロ500円」から「910メートル500円」に改定する方針で、運転手の労働条件改善が狙い。4月から順次、各業者が国土交通省関東運輸局に申請する。認められると、早ければ12月中にも運賃が改定される見通し。

 91社が加盟する同協会によると、国が定める地区(県別など)内で、運賃改定を申請する業者が3カ月以内に車両ベースで7割を超えると、同運輸局が審査に入る。認められれば地区全体の運賃体系が変更される。本県地区は多くの業者が賛同しているといい、4月に改定の勉強会を開いた上で申請する。

 加算運賃も見直す。初乗り以降は現行が271メートルごとに100円で、新運賃は225メートルごとに100円の加算を見込んでいる。

 運賃改定の背景には、増収分を運転手らの賃金に反映し、労働条件を改善する狙いがある。22年度の県内運転手の年間給与は平均約347万円で、全国平均の約361万円より低い。

 県内のタクシー運転手は2月末現在で1713人。このうち20~30代は75人で全体の5%に満たない。一方、60代以上は1172人で68%を占める。平均年齢は63.6歳と高齢化しており、労働環境の改善は急務という。

 物価高や新型コロナ禍を受けた運賃改定の動きは神奈川県や群馬県など全国で広がっている。同協会は「経営環境が悪化し、業者は先の見えない不安を抱えている。増収により、労働環境の改善につなげたい」と値上げ方針への理解を求めている。

 前回20年の改定では初乗り500円のワンコインタクシーを導入し「ちょい乗り」需要の喚起を図った。

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