栃木県内全629カ所で投票時間繰り上げ 期日前の浸透背景 9日投開票の県議選

 9日投開票の栃木県議選で、無投票選挙区を除く県内の全投票所(629カ所)で投票終了時間が繰り上げられることが5日までに、県選挙管理委員会のまとめで分かった。県全体で行われる選挙で、全投票所の終了時間が繰り上げられるのは初めて。2019年の前回県議選で繰り上げは全体の2割だったが、期日前投票者数の増加や立会人の負担軽減などを理由に繰り上げの動きが全県に広がった。一方、昨年の参院選では投票ミスが相次いだことから、各市町選管は入念な準備を進めている。)

 公選法では投票時間を原則午前7時~午後8時と定める一方、特別な事情がある際には市町村選管の判断で終了を最大4時間繰り上げられるとしている。

 県選管によると、今回の県議選で栃木市の真上集落センターは午後4時に投票を締め切る。午後6時に終了するのは173カ所で、午後7時は455カ所。

 前回県議選で繰り上がったのは、計627カ所のうち130カ所(20.7%)。その後も選挙の度に繰り上げる投票所は増え、22年参院選では全体の91.1%を占めた。午後8時まで受け付けたのは佐野市(一部は繰り上げ)と上三川町、野木町だけだった。

 上三川町によると、投票者総数に占める午後7時以降の投票者数は、21年衆院選で1%台、22年参院選で2%台にとどまったことなどから繰り上げを決めた。佐野市は経費削減も狙い、繰り上げに合わせて投票所数も参院選時の4分の3に減らす。各市町は広報誌やホームページなどで繰り上げを住民に周知している。

 参院選では投票用紙の誤交付などが県内で相次いだため、各市町の選管はミス防止にも注力している。

 宇都宮市の投票所で計260人の有権者に投票用紙が誤って配布され、投票が無効になった。栃木市と那須塩原市、那須町では投票用紙が二重交付され、日光市では期日前投票を終えた有権者に二重投票させた。

 ミスを受け、宇都宮市選管は市職員向けのマニュアルを全面的に改定し、各投票所にリハーサルと役割分担を徹底させるなどしている。同市選管の大根田清次(おおねだせいじ)事務局長は「1票の重みを守るためにミスなく適正に執行したい」と話した。

© 株式会社下野新聞社