茨城・つくば市 企業と連携、子ども支援 企業版ふるさと納税 寄付付き商品販売

1冊の売り上げにつき10円が寄付される児童書=つくば市学園の森

茨城県つくば市は、企業と連携し、新たな企業版ふるさと納税制度を導入した。商品売り上げの一部を市に寄付することで、経済的に困難な状況にある子どもの支援事業に参画できる仕組み。2社が今月、寄付付き商品の販売に乗り出した。市は企業への協力をさらに呼びかけたい考えで、寄付の広がりに期待を寄せている。

市の取り組みに参画したのは、大型複合書店「コーチャンフォーつくば店」(同市学園の森)を運営する「リラィアブル」(北海道釧路市)と、食品や革製品のテストマーケティング自動販売機を設置するコンサルタント「鶴と学び」(つくば市)の2社。

リラィアブルは、同店で販売した児童書1冊当たり10円を、鶴と学びは同自販機で売り上げた商品一つ当たり10円を、それぞれ市に寄付する。期間は2023年3月末までの1年間で、継続も検討する。

市は、これら商品売り上げを通した寄付の受け皿として、19年に創設した「つくばこどもの青い羽根基金」の子ども支援事業を指定。市が企業版ふるさと納税として寄付を受け取り、事業者が法人税などを軽減できる仕組みにした。

同基金の子ども支援事業ではこれまで、学習支援や子ども食堂などの居場所づくり、学習塾授業料の一部助成などに取り組んできた。同基金への寄付額は、19年に878万円、20年に1547万円、21年に1419万円に上っている。

コロナ禍などで困窮する家庭が増える中、市は新たに企業の寄付協力を得ることで、子どもの支援事業に弾みをつけたい考え。

市持続可能都市戦略室は「寄付付き商品を目にすることで、市民にも支援事業について知ってもらえるのでは」と期待する。

コーチャンフォーつくば店では、正面玄関の入り口付近に児童書コーナーが設置されている。寄付付き商品の対象は、同コーナー内の図鑑や絵本、児童文庫など約4万冊に上る。

同社の近藤隆史関東支社長は「つくばは子どもの人口が増えている全国でも希少なエリア。少しでもお役に立てればうれしい」と話した。

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