【米国】住宅着工は低調も、今年後半には回復の見込み

住宅ローン金利の上昇、建設費の高騰、銀行の混乱など、様々な問題に直面している米住宅市場。一戸建て住宅の建設は、低調なペースにとどまった。

米国商務省国勢調査局と米住宅都市開発省がこのほど共同で発表したデータで、米住宅着工件数が前月比で9.8%増加し、145万件(季節調整済み)となったことが明らかになった。

集合住宅の建設数増加が全体を牽引しており、集合住宅の着工件数は前月比で24.1%、前年同月比で14.3%増加して、60.8万件(季節調整済み)となった。対する一戸建て住宅の着工件数は、前月比で1.1%増、前年同月比で31.6%減の83万件(季節調整済み)だった。

住宅着工件数を地域別に見ると、米国の四つの地域すべてにおいて、前年同月比で減少している。前月比では、北東部を除いて増加した。着工件数は北東部で10.6万件(前月比16.5%減・前年同月比20.9%減)、中西部で20.1万件(前月比70.3%増・前年同月比14.1%減)、南部で79.6万件(前月比2.2%増・前年同月比20.3%減)、西部で34.7万件(前月比16.8%増・前年同月比15.4%減)となった。

中西部における着工件数の伸びが著しいが、これは集合住宅の着工件数の大幅な増加によるもので、一戸建て住宅の着工件数に限ると8.1%減少している。

一戸建て住宅に関する供給サイドの問題は根深いものの、動きがほぼ連動している建設業者の景況感が改善しつつあることは、米一戸建て住宅市場にとっては明るい兆しといえる。全米住宅建設業協会(National Association of Home Builders)がこのほど発表した「NAHB住宅市場指数(NAHB/Wells Fargo Housing Market Index)」は、前月比プラス2の44ポイントだった。

米建設業者の景況感は2022年を通して悪化の一途を辿っていたが、2023年に入り反転。徐々に改善へと向かっている。全米住宅建設業協会は、建設資材の高騰とサプライチェーンの混乱が継続して市場の逆風となっていることを理由に、しばらくは市場が不安定になると予測。しかし、今後数か月で金利が安定し、低下していくことで、2023年後半には一戸建て住宅の着工件数が持続的な回復に向かうとみている。

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