プロ投資家にはない個人投資家のメリット、プロは意外と柔軟な投資判断ができない?

個人投資家には、プロの投資家にはないメリットや強みが存在します。今回はプロに負けない、個人投資家ならではのメリット、強みについてお伝えいたします。


(1)時間の制約がない

まず最初に挙げたいのが、短期的な利益追求のプレッシャーが少ない点です。

機関などに属しているプロの投資家は、「今日中に」「今週中に」「今月中に」「今期中に」など、ここまでに利益を出さねばならないという締め切りが決まっているため、自分の都合で長期保有することなどができません。週末要因や期末要因というのが意識されるのも、この締め切りが関係しています。

プロ投資家と違い、個人投資家は短期的な業績を追われることがありません。利益が乗ったら早めに利食うということも、タイミングが悪いと思ったら長期で保有したり、戦略を変更したりすることも自由自在です。

加えて個人投資家は、短期的なパフォーマンスに左右されず、数年や数十年という長期的な視点で資産を運用することができます。これにより、短期的な市場の変動に一喜一憂することなく、安定した資産運用が可能となります。成長が期待できる銘柄にじっくりと目を向けることもできます。情報収集や投資先の決定などに、時間的余裕を持って取り組むこともできるといえるでしょう。

(2)柔軟な投資判断が可能

プロの投資家は、組織からこの商品でこの戦略でということを仕事として任されることが多いため、自分で投資先を選択する事が難しいケースが多いようです。例えば、ドル円の投資を任されたのであれば、ドル円のボラティリティが低かったり、投資しにくい環境であっても、ドル円で利益を出さなければなりません。

一方、個人投資家は独自の投資判断を行い、投資戦略や資産配分を柔軟に変更できます。これにより、市場環境や自身のリスク許容度に応じて迅速に対応することが可能です。組織の制約や方針に縛られることなく、自由な発想で投資先を選択できるわけです。

株式投資やFX、商品先物など、いま優位性があると思う市場で投資をすることも可能ですし、例えば株式投資であれば新興企業や未来の技術に賭けることもできます。ポートフォリオの多様化や、損失を最小限に抑えるリスク管理手法などを用いることができるのも個人投資家ならではのメリットです。

(3)自分の価値観に基づいた投資ができる

プロの投資家は、個人投資家に比べてより多くの情報やデータにアクセスできます。市場分析や投資判断に役立つ情報を速やかに収集し、適切な投資戦略を立てることができると考えられ、情報の速さや量に関しては、個人投資家はプロには劣ると考えている方も多いのではないでしょうか。

たしかに個人投資家は情報や資源が限られているため、十分なリサーチやリスク管理が重要です。ただ個人投資家は消費者目線で、業績に反映されるはるかに前に、銘柄をキャッチすることも可能です。

例えば、私が雑誌で推奨して印象に残っている銘柄にドトール・日レスHD(3087)があります。星乃珈琲店のホットケーキがメディアなどで取り上げられて、連日行列ができていた時に、星乃珈琲店がどこの企業のお店なのか調べたところ、ドトール・日レスHDであることがわかりました。「これは業績が良くなるに違いない」と考え推奨させていただいたところ、その後大きく株価が上がりました。

ほかにも、いきなりステーキの行列が連日途絶えなかった時や、コンビニで本格的なコーヒーのサービスが始まった時など、街中やお店で何が流行っているのかをいち早くキャッチでき、自身の判断で投資戦略に盛り込める個人投資家目線が、実はプロも得られないような1番早いホットな情報であることも多いです。直接企業の製品を使ったり、サービスを利用したりすることで、消費者目線で企業の状況を把握できるのはメリットだと言えるでしょう。

また、株主総会に参加することで、企業経営者から直接情報を得ることもできますし、自分の信念や価値観に基づいて投資を行うことができます。環境や社会貢献を重視したESG投資や、地域に根ざした地元企業への投資など、自分の思いを形にすることができます。

(4)コストや税制上のメリットを受けられる

個人投資家は、自身で投資判断を行い、個別銘柄や低コストの投資商品、例えばインデックスファンドやETFを利用することができます。コスト面も自分でコントロールすることが可能です。

また、iDeCoやNISAなど個人投資家が特定の税制上のメリットを享受できることがあります。税金の延期や節税が可能となりますので、ぜひ活用していきましょう。

(5)継続的な学習と成長のチャンス

個人投資家として投資を行うことで、経済や企業の動向を学ぶことができます。その過程で、自分の知識やスキルが向上し、人生においても有益な経験を積むことができるでしょう。

投資を行うことで、経済や企業の動向に敏感になり、時代の変化を自分の肌で感じることができ、その知識はビジネスや日常生活においても役立ち、視野を広げることができます。また、自分だけの投資戦略を構築し、市場で成功を収める達成感を味わうことができ、自分の考えや価値観に基づいた投資先を見つけることは、人生においても刺激的な経験となるのではないでしょうか。

また個人投資家は、自身の関心や専門知識に基づいて、個別株の選択ができます。これにより、未発掘の銘柄や将来性の高い企業に早期に投資することが可能となり、高いリターンを狙うことができる場合があります。プロ投資家とは異なる視点で投資を行い、市場に新たな価値をもたらす役割を担っているともいえます。

日本では、個人投資家で安定的に勝てているという方はまだまだ少数派かもしれませんが、個人投資家の強みを理解し、しっかりルールを構築して投資にのぞめば、投資を通じて資産が時間とともに成長することを実感できるでしょう。

なおこれらのメリットを活かすためにも、投資をする際にはどのようなポートフォリオ組んでいるか、自分で把握することも大切です。しかし、知識や分析力も必要となるため、初心者の方は難しいと感じるかもしれません。確かに以前までは、表計算ソフトなどで自分で計算・分析する必要がありましたが、最近は証券会社のマイページでも確認できるところが増えましたし、複数の証券口座をまとめて見える化してくれるサービスもあります。

自分だけのポートフォリオを組んでバランスを確認したり、配当の資産や業種別の投資内訳を分析することは、資産を長期的に増やし、将来の安定した生活や夢の実現につながる一歩となります。ぜひご自身に合った方法で、投資と向き合ってみてください。

心からのエールを込めて。

© 株式会社マネーフォワード