いよいよ始まった自転車のヘルメット着用の “努力義務化” …。
自転車に乗る街の人
「安全のためにはかぶった方がいいのかな」
「まあちょうどいいタイミングなんでかぶってます」
「レンタサイクルを使っている以上厳しいな」
今回のテーマは「いよいよヘルメット着用の努力義務化スタート! 街の様子はどう変わった?」
小林康秀キャスター(以下小林)
「今月から道路交通法の改正によりヘルメットの着用が努力義務となりました。みなさん、街でヘルメットに乗っている人を見かけますか」
青山高治キャスター(以下青山)
「広島は自転車文化で、自転車が走っているところをよく見かけますが、先月と今月で何か変わったかと言われるとそんなに変わったようには思えないですね…」
小林
「なぜ、ヘルメットが努力義務に…? というと、やはり安全性ですよね。警察庁の調べでは去年までの5年間で、自転車に乗っているときに亡くなった人のうちその半数以上頭を強く打ったことによるもので、さらに、ヘルメットを着用している時の致死率は着用していない時の2倍以上高くなっているということです」
「では、4月から、どのくらいの人がヘルメットをかぶるようになったのでしょうか? 街で取材しました」
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ヘルメット着用が努力義務となる前、3月末の平和大通りです。
坂本可織記者
「今からこちらの通りでどのくらいヘルメットをかぶっている人がいるのか数えていきたいと思います」
調べたのは、通勤で自転車を利用する人が多い朝の時間帯です。
この日、午前8時台の30分間にヘルメットを着用していたのは、113人中、1人でした。
そして、努力義務化され、初めての平日。同じ時間、同じ場所で調べてみました。
坂本可織記者
「お! かぶっている人います! またいました、かぶっている人!」
ヘルメット着用している人
「努力義務になるのがいいきっかけになると思ったので。こけたこともありますしね交通事故があったらと思って」
「子どもが、かぶらないとといって、ヘルメットを買ってきたので」
坂本可織記者
「少しだけ前回より増えたかなという感じですが、まだそこまでたくさんの人がかぶっているという感じではないですね」
この日、午前8時台の30分間にヘルメットを着用していたのは104人中、7人でした。3月は113人中、1人。今回は104人中、7人。努力義務となり、ヘルメットを着用している人数は少し増えているようです…。
しかし、「努力義務」となった割には、まだまだヘルメット着用が進んだとは言い難い結果となりましたが…。
ヘルメットを着用していない人
「抵抗はありますね、さっと出ていくのにヘルメットを持っていくという作業が発生するし、特に女性の方は髪の毛とかも気になるでしょうし」
「(ヘルメットを)持ち歩かないといけないという意味では非常に難しい」
「レンタサイクルを使っている以上厳しいな」
ヘルメットを持ち歩かないといけない…、保管する場所がない…という声も。
市民や観光客など登録した人が誰でも広島市内などおよそ130箇所で乗り降りできるシェアサイクル「ぴーすくる」を利用する場合、ヘルメットはどうしたらいいのでしょうか。
広島市 自転車都市作り推進課 柴田知子課長
「通勤などで日常的に(ぴーすくるを)使われている方については可能な限り自分のヘルメットを準備してもらいたい。自転車と一緒に貸し出しするということは考えていないです」
3日に取材した段階では、サイズに個人差があり、利用者全員に合うものを用意できないことなどをあげ、こう話していました。実際に努力義務化が始まると、さっそくこんな動きが…。
自転車がおいてある場所=「サイクルポート」での貸し出しがないのは変わらないものの、広島駅近くにあるぴーすくるの事業所では…。
ツアーズ広島 田中真一 国際観光部長
「これからインバウンドの方々に利用してもらうために整備としてヘルメット100個の準備と専用の洗浄機の取付を予定しています」
貸し出し開始時期は夏ごろを目指しています。
ツアーズ広島 田中真一 国際観光部長
「努力義務化といってもかぶっている人はまだまだ少ないかと思うので、ヘルメット100個を貸し出しすることで市民の方々にもヘルメットをかぶっていただく気持ちにまってもらえれば」
街で見る限り、まだまだヘルメット着用が進んでいるとはいえませんが、自転車販売店を取材すると別の一面もみえてきます。
全国で34店舗を展開するスポーツサイクル専門店のワイズロードのフジグラン広島店です。2月に取材した時にはヘルメットがこれまでの2倍のペースで売れているということでしたが現在は…。
ワイズロード フジグラン広島店 木谷洋美 副店長
「約3倍の売上になっています。先週は特にすごくて1週間で100個ほど売れているので欠品の商品もかなり出ています」
努力義務化が決まるまでは1週間に10個売れる程度だったのが、2月下旬から来店客が増え始め、3月には駆け込み需要が押し寄せました。
さらに…。
ワイズロード フジグラン広島店 木谷洋美 副店長
「電話問い合わせがものすごく増えていまして体感ですが、30分に1~2件は必ず電話があります」
多くの店舗でヘルメットの欠品が出ているため在庫確認の問い合わせが増えています。
特に、見た目がカジュアルで普段着に合わせやすいと好評の街乗り用の「リベロ」は予約が殺到しました。現在欠品状態で入荷に時間がかかる中、すでにおよそ50件の予約が入っているといいます。
ワイズロード フジグラン広島店 木谷洋美 副店長
「大体、夏以降になってもいいよという方にご予約いただいている状況です」
お店ではまだ在庫のある、夏に向けて通気性のよいスポーツバイクヘルメットを勧めているということです。
ワイズロード フジグラン広島店 木谷洋美 副店長
「(Q今までこんなことは?)なかったですね、正直。当店でもあまり在庫数は置いてなかったですけど、今回問い合わせは増えて在庫数を確保しようと頑張っている次第です」
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青山
「実際にヘルメットは売れているということで変化は生まれているということですね」
コメンテーター 鈴中直美さん
「みなさん命に直結すると分かっていても持ち歩くのに邪魔などハードルが高いですよね。ヘルメットでも折りたためるとか原付バイクのように椅子の中に入るなど、合わせてそんな開発が進めば変わってくるのかなと思います」
小林
「広島市中心部の安田女子中高等学校の場合は、これまで中学生のみ、ヘルメットの着用を義務づけていましたが、今回の努力義務化を受けて、これからは高校生についても着用を義務づけるということです」
青山
「家族の中では自転車のヘルメットについて話す機会は確実に増えました。子どもの自転車通学について、友だちはどうするのかなどという話になったりしますね」
小林
「こうしたの動きをみていると、ヘルメット着用が少しずつ進む過渡期なのかも…。一方で、着用率を向上させていくには、ヘルメットの置き場の整理など、環境面も大事。そして、ヘルメットをつけていなかったら、どういうことになるのか、知らせていくことも大事」
小林
「努力義務ということなので、罰則はありません。そんな中、ヘルメットの着用のについてあらためて警察に聞いてみました」
「広島県警交通企画課は『努力義務になったからヘルメットを…ではなく、ヘルメットがあれば安全だから努力義務になった。背景には、自転車運転中の死亡事故のうち、頭を強く打ったことで亡くなるケースが多いことがある。万が一事故にあったとき、自分の命を守るためにも、ぜひ着用を。警察では、引き続き啓発活動などヘルメットの着用を呼びかけていきたい』としています」