関西リーグ「異色の開幕戦祭り」に直撃!前回王者和歌山の白星と、『選手兼監督』佐野裕哉の初陣

4月8~9日にかけて行われる関西サッカーリーグ第1節。1部と2部に所属している前16チームが同じアスパ五色(五色浜運動公園)に集まり、2日間で前8試合が開催される異色の開幕節だ。

その1日目に行われたのは1部の2試合(アルテリーヴォ和歌山対関大FC2008、Cento Cuore HARIMA対守山侍2000)、そして2部の2試合(ASラランジャ京都対阪南大Revolution、阪南大クラブ対高砂ミネイロFC)。

11時からキックオフされたアルテリーヴォ和歌山対関大FC2008は、昨年の関西リーグ王者と、そして2部から昇格してきたばかりのチームの対戦である。

格差がある立場であるが、試合では昇格組の関大FC2008が健闘を見せるスタートに。全体的には和歌山が攻勢をかけるも、関大FC2008が粘り強くボールを繋ぎ、そして身体を張って守った。

しかしながら後半になると徐々に開幕戦ならではの硬さが取れた和歌山がチャンスを掴むようになり、67分には左サイドからのクロスを田口遼がシュートに持ち込んで先制に成功する。

田口遼

「ハーフタイムには思い切ってやるところを出していこうと話していました。自分のゴールで先制点が決められたのはよかったです。

昨年は得点力不足というのがあったので、そこで守備が頑張ってくれている分、自分が先頭に立ってチャンスを作るというのを意識して取り組んできました」

その後関大FC2008の反撃を受ける時間もあったものの、さらに78分にはコーナーキックから途中出場の大橋優正が押し込み、追加点を奪う。

大橋優正

「練習試合から結構CKで決めていたので、そこはチャンスだと思って狙っていました。

去年の地域CLでの悔しい思いは常に持っていて、それを今年にぶつけたいと気合が入っていました」

そして試合はそのまま2-0で終了。前回王者のアルテリーヴォ和歌山が開幕戦を勝利で終えることになった。

第2試合はCento Cuore HARIMAと守山侍2000の対戦。昨年は関西サッカーリーグでそれぞれ3位、6位と中位となったクラブ同士だ。

かつて「バンディオンセ加古川」という名前で関西の強豪となっていたCento Cuore HARIMAは、今年に向けて昨年監督に就任した佐野裕哉がなんと現役復帰。選手兼任監督としてピッチに戻ってきた。

試合を先に動かしたのはそのCento Cuore HARIMA。前半15分、セットプレーのこぼれ球からキャプテンの松本祐樹が押し込み、先制点を奪取する。

松本祐樹

「ゴールは嗅覚というか、普段真面目にやっていることが報われた瞬間なのかなと思います。

チームはかなり若返ってふわふわしている部分もありますけど、僕たち年上の選手が引っ張るというつもりで試合に入りました」

その通りチームの一体感が感じられるような声掛けが多く、Cento Cuore HARIMAは守山侍に良さを出させず、試合を有利に進めていく。

そして82分には兵庫県加古川市出身の地元っ子選手である平谷成矢が強烈なミドルシュートをゴールに叩き込み、2-0とリードを広げることに成功した。

平谷成矢

「初戦だから難しい試合になるとは思ってました。球際の戦いから負けないことを意識して入れたのが良かったと思います。

前半個人的にあまりいいパフォーマンスができていなかったので、どこかで一発決めたいと思っていたんです」

そしてこのまま試合は終了。Cento Cuore HARIMAが2-0と勝利し、佐野裕哉『選手兼監督』としては初となるリーグ戦を白星でスタートさせることに成功した。

佐野裕哉

「一年ぶりの選手としての出場だったんです。今日の朝はこれまでと違った緊張感がありました。監督として迎えるものとはまた違うものでしたね。ただピッチに入ってみれば、すんなり違和感なく入れました。

ピッチに立つときは山口や藤田が外から見てくれているので、自分はピッチに入れば選手としてプレーしています。チーム全体で支えている感じです。

選手兼監督の仕事は『大変だ』とは思わないようにしています。誰もができる経験ではないですし、クラブに感謝しながら、それを自分が一番楽しむことですね。

そういうことができる。その体験に感謝の気持ちを持って取り組んできました」

新しいチャレンジの始まりを勝利で終えたCento Cuore HARIMA。この勢いのままJFLを目指すシーズン、果たしてその夢を叶えることができるだろうか。

一方、良いところがなかなか出せなかった守山侍2000の井上監督は…。

井上卓哉(守山侍2000)

「完敗です。残念ですね。開幕戦でいいスタートを切りたかったですけど、仕方がないです。

(去年は初の1部でのチャレンジで、開幕戦に敗れてから連勝しましたね)昨年よりも課題や修正点が多く残った試合だったと思います。ただその中でも次に向けて『ここはこうできるな』というところも見つかりました。

負けるときは負けるものですし、次は自分たちが勢いに乗っていけるように、もう一回整理してやっていきます」

昨年は開幕戦でアルテリーヴォ和歌山に敗れてから快進撃を見せた守山侍2000。昨年のようなリバウンドメンタリティを見せることができるだろうか。

関西サッカーリーグ1部は4月15~16日にかけて第2節が行われる。

アルテリーヴォ和歌山は16日にFC BASARA HYOGOとJ-GREEN堺で対戦。そしてCento Cuore HARIMAは15日に滋賀県のビッグレイクでレイジェンド滋賀FCと戦う予定だ。

また関大FC2008は16日にJ-GREEN堺でおこしやす京都ACと、守山侍2000は15日にビッグレイクで飛鳥FCと対戦する。

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