EWC:第4ライダーとして挑む岩戸亮介。初ヨーロッパテストとル・マン24時間への意気込み

 2023年からFIM世界耐久選手権(EWC)に参戦するTeam Kawasaki Webike Trickstar(KWT)。レギュラーライダーとしてランディ・ド・プニエ、渡辺一樹、クリストフ・ポンソンを参戦させるが、岩戸亮介をリザーブライダー(第4ライダー)として起用することが2月27日に追加で発表された。

 そんな岩戸は3月17~19日にスペイン・バレンシアのリカルド・トルモ・サーキットでテストに参加し、2023年シーズンのマシン、カワサキNinja ZX-10RRに初めて乗り込んだ。チームとしてもヨーロッパでのテストはこれが今季初であったが、岩戸自身もヨーロッパのサーキットを走るのは初めてだった。

「SRCカワサキから引き継いだ、鶴田監督のトリックスターとWebikeの新体制になるので、バレンシアの初テスト時点ではまだ完璧ではなかったと思いますが、徐々に良くしていく道が見えてきた段階だと思います。これからの課題が見えてきた状態だと思います」とまず新体制の印象を語った岩戸。

 岩戸はこのテスト後に帰国して、全日本ロードレース選手権第1戦もてぎにKawasaki Plaza Racing Teamから参戦。KWTはスペイン・ヘレスでのテストを経て、ル・マン24時間の事前テストもこなしていった。

 また、ヨーロッパのサーキットを初めて走った岩戸は、バレンシアの印象を次のように語った。

「ヨーロッパのサーキットを走ること自体が初めてだったので、走行1本目はすごく感動しました。だけど、2本目はもうそれどころではなく、やっぱり速く走らないと気持ち良くはないですからね。(路面のグリップ面では)少なくはないと思いますが、極端に日本のサーキットのグリップが良すぎる印象です。でも、バレンシア自体が滑るとか、μ(ミュー)が低いという感覚はそこまでありませんでした」

「全日本ロードもあり絶対に怪我はできない状況で、気をつけて走っていたので、また走るチャンスを掴んで、思いっきり全開で走りたいと思いました」

 KWTがEWCで使用する耐久仕様のカワサキZX-10RRについては「車体に関しては特に大きな違和感なく、乗り始められた」といい、岩戸を含めた計4人のライダーでシェイクダウンを行い、マシンのセットアップを煮詰めたという。

2023EWC:渡辺一樹(Team Kawasaki Webike Trickstar)

 そして、チームメイトにはレギュラーライダーの渡辺一樹がいるが、「正直、数年前まではライバルだったので、まさかチームメイトになる日がくるなんて本当に思っていなかったですが、一樹さん自身は海外での経験もありますし、チームにとってはかなり大きな存在ではないかなと思います」という。

「耐久レースなので、みんなで情報をしっかり共有してコミュニケーションをとっていかないといけないのですが、それを率先してやってくださっているので、本当に一樹さんの存在は大きいです」

 岩戸にとっても、チームにとっても、経験豊富な渡辺の存在は大きいようだ。さらに、地の利があるフランス出身のド・プニエとポンソンにより有利に働くこともあるだろう。

 そんなTeam Kawasaki Webike Trickstarのデビュー戦となる2023EWC第1戦ル・マン24時間は4月13~16日にフランスのル・マン-ブガッティ・サーキットで開催される。第4ライダーとしてエントリーしている岩戸も予選まで走行を行う予定だ。

「ライダーとしてチームに呼んで頂いた以上は、決勝を走るメインのライダーになりたいなという気持ちはもちろんあります。世界選手権という舞台に出るのも初めてなので、まずは僕の名前、存在を見せられるように走らなければいけないと思います」と岩戸は意気込んだ。

「第4ライダー、リザーブライダーとはいえ、いつでも代われるようなタイムも出さないといけないと思うので、初めてのル・マンですが、そこは何も考えず、経験豊富なライダーからいろいろ学びながら、自分の走りやタイムに繋げていきたいです」

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