社説:統一選前半戦 本気の議会改革が不可欠だ

 統一地方選の前半戦が投開票された。

 京都府議選、京都市議選、滋賀県議選ではいずれも日本維新の会が大きく勢力を伸ばした。選挙中、維新は行財政改革を強く打ち出していた。各自治体で一定の議論になろう。

 9道府県の知事選、6政令市長選では大半で現職や自民党系の候補が当選した。

 一方、維新は大阪府知事と大阪市長のダブル選を制したにとどまらず、奈良県でも単独公認の知事が誕生した。関西政界では一昨年の兵庫県知事選で、維新主導の候補が当選したのを上回る衝撃ではないか。

 年内にも取りざたされる衆院の解散総選挙はもとより、年明けに予定される京都市長選や大津市長選にも波及する面があるだろう。

 少子高齢化が加速し、京滋でも大半の自治体が人口減少や財政難に陥る中、地域社会の再生策や安全網の再構築が問われた各議員選だった。

 当選者は4年間で自らの公約をいかに前進させるのか。行政の施策をしっかり監視し、住民の多様な声の反映で二元代表制を機能させてもらいたい。

 議会の思い切った改革も求めたい。前回に続き5選挙区も無投票になった京都府議会は、特に定数論議が不可欠だろう。

 先行議会が取り組む住民との直接対話、オンライン委員会の開催・配信のほか、議員から職員や、有権者から候補者・議員への「ハラスメント行為根絶」を目指す条例制定なども参考になる。依然、低迷する女性の立候補を促進し「なり手不足」の対策にもつなげたい。

 既得権に安住せず、地域の未来を見据えた大胆な取り組みで有権者の信頼を高めてほしい。

 京都府・市議会とも自民が最大勢力を保った。府議会では公明党と、市議会では公明と旧民主党系を合わせて、それぞれ過半数を維持した。

 維新は府議会で3倍となり、後退した共産党と並ぶ形で「第2党」に躍り出た。市議会でも倍以上に伸ばし、会派をくむ京都党も増えた。「市長野党」として発言力を強めるだろう。

 背景には既成政党や行政への不満、不信があるとみられる。ただ、国政では憲法改正などで与党と連携するなど、維新は立ち位置の不透明さもつきまとう。真価が問われる。

 滋賀県議会でも維新が初めてにして3議席を得た。旧民主党系や共産があおりを受けた。

 京都は過去最低だった前回投票率よりは微増したが、滋賀は最低を更新した。政党、有権者とも深刻に受け止めねば、民主主義が機能不全に陥る。

 23日投開票の後半戦は、京滋で17市町の首長・議員選がある。まちの未来を考える好機だ。同日投開票の衆参5補欠選挙と合わせ、岸田文雄政権への「中間評価」ともなろう。

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