企業が就活生のSNSをチェックするのは当然? 現代の“就活”のあり方を議論

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG(モニフラ)」(毎週月~金曜7:00~)。「モニフラZ議会」のコーナーでは、企業による就活生の“SNS調査”についてZ世代とXY世代の論客が議論しました。

◆就活に大きな変化が…企業が就活生のSNSを調査

コロナによるオンラインの活用や相次ぐ飲食店での迷惑動画などの影響で、就活生のSNS調査を行う企業が急増。都内の調査会社には、月600人以上の依頼があるそうです。

企業調査センターによると、企業が承諾を得た就活生など8万6,000人分のSNSを調査した結果、「懸念なし」が70%。誹謗中傷が多い・未成年の飲酒喫煙などが見られた「やや懸念あり」が20%。バイトテロ・イタズラ動画などを投稿していた「懸念あり」が7~8%。そして「重大な懸念あり」が2~3%と約3割に懸念が見つかっています。

また、投稿には問題なかったものの、コメント欄のコメントからトラブルが発覚するケースも。一方で、同センターの担当者によると、SNSでは自分の活躍などを投稿しているものの面接・選考ではそれを企業側に発信していない就活生も多いということです。

企業が就活生のSNSを調査することについて、採用する側でもあるZ世代の政治プラットフォーム「PoliPoli」代表・伊藤和真さんは「最近は飲食店の問題などもあり、上場企業であれば(採用時の確認不足は)株主から説明責任が問われそうなので仕方ない。それも企業の自由」、「採用すること、人を判断することは難しいので、できるだけ(就活生の情報が)見たいという会社の気持ちはわかる」と企業側を慮ります。

そう語る一方で、「しっかりと意見を持って発信しているような人たちが面倒な人だと思われて採用に至らない、そういうのは避けてほしい」とも。「個人的には、会社のカルチャーとして、意見を持っている人、発信している人を採用してほしい」と望みます。

Z世代の臨床心理士・みたらし加奈さんは、就活時、面接官に「○○に旅行に行っていたよね」と言われたことがあるそうで「(当時SNSは)本名でやっていなかったら、どうやって調べたのか正直怖かった」と回顧。

自分が採用する側になったとして考えてみると「採用するにもお金がかかる。SNSを全くチェックしないかといえば、チェックしてしまうと思う」と本音を明かしつつ「(企業が)告知して見るのと、こっそりチェックするのではまた意味合いが違ってくる。SNSに出している姿が全てではないから、そこが影響しすぎるのは懸念かなと思う」と危惧します。

◆企業はプライベートまで踏み込んでいいのか?

SNSには、表向きオープンに情報を発信しているものと、身近な友達など内々だけに発信しているようなプライベートなアカウント、裏アカなど人には内緒でやっているものなどもあります。これについて、XY世代のキャスター・堀潤は「ネット上にそもそもプライベートはないと思う。裏アカは絶対にバレる。バレない裏アカはない」と持論を述べます。

さらに、過去に面接官をやったときのことを振り返り「基本的に面接はプライベートを聞くためにやっている」とも。それは困ったときや何かあったときにどんな対応を取るのかが知りたいからで、日本は今、解雇規制が厳しく、一度雇ったらなかなか辞めさせることはできないことを理由として挙げます。

さらに堀は、「企業側も"一生”という覚悟で採用しなければと思うもの。だから、(SNSを勝手に)見てやろうというのではなく、今後一緒に働くんだからお互いフェアにいるためにも知りたいという気持ちだと思う」と企業側の気持ちを汲み取ります。

最近ではSNSのトレンドも変容し、オープンであることの弊害、繋がりすぎの弊害から、若者の間ではクローズドのSNS、「BeReal」や「Bondee」などが流行ってきていることに伊藤さんは触れた上で、「割と近い友達のなかでシェアする風潮がカルチャーとしてあるので、オープンなところは仕方ないが、プライベートと割り切っているところまで踏み込まれるのは、逆に採用される側としてもそこまでしてくる企業なのかと思ってしまうかもしれない」と就活生の気持ちを推察。

◆望ましいのは就活生と企業のフェアな関係

採用する側とされる側というアンフェアな関係性に嫌悪感があったという堀。自身が就活していた当時、"選ぶ側でいたい”という思いから、面接時に面接官に積極的に質問を投げかけ議論に発展したこともあったと振り返り、「フェアであることを企業側にも求めたい。(企業側がSNSなどの)プライベートを覗くのであれば、その意図を開示してほしい。上から目線でない採用をしてほしい」と熱望。

これに伊藤さんは「少人数のスタートアップなどは1人優秀な人がいると大きく変わるし、逆もしかりなので採用は本当に拘らないといけない。面接のときに逆に質問や提案をしてくるのは好印象」と堀の考えに同意しつつ、今後の就活トレンドを2つ示唆。

1つは、今後少子高齢化がさらに進み、人手不足になっていくことが予想され、企業側としては「自分たちの売りや魅力を打ち出していかないと人が集まらない」ということ。2つ目は、就活生のなかにはキャリアアップを考えている人もいるため、企業側は入社後にどんな未来が想定できるのか、給与面なども含め公開していくこともトレンドになっていくのではと予見。「企業も情報開示しないと人が来ないという風潮に持っていくこと、これは政策のひとつでもあるが、それが進んでいくと思う」と予想します。

最後に、今回の議論を受け、臨床心理士のみたらし加奈さんがZ議会からの提言を発表。それは"SNS調査の根拠の提示”、"フェアな就活でWin-Winの関係性を!”。みたらしさんは「SNS調査はもう避けられないと思うので、なぜ行うのか根拠の提示は重要で、堀さんが言うように、就活生と企業側がフェアな関係性を築けるのがベスト」と主張していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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