よゐこ有野、役所の対応にショック!土地を寄付しようと電話するも「そんなんあるの!?」

お笑い芸人・よゐこの有野晋哉さんが、毎月さまざまな専門家をゲストに迎えて、お金の知識を身に付けていく「お金の知りたいを解決!お金の学園〜学級委員・よゐこ有野晋哉〜」。2023年4月は会計士・税理士でYouTuberの山田真哉先生に「税金」について、弁護士でタレントの三輪記子さんと一緒に伺いました。

今回は、「固定資産税」について伺いました。納税通知書が届いたという方もいると思いますが、どのように算出されているか、ご存知でしょうか?


三輪記子(以下、三輪):有野さんって、お仕事でいろんな場所にいって、沢山おいしいものを食べてるんですね! この前はおいしそうなパンケーキ食べてたし、うらやましいなぁ。

有野晋哉(以下、有野): おお、わざわざチェックしてくれてるんや。ありがとう!

三輪:いや、ウチの子が有野さんのファンだって言ったじゃないですか。だから、あれこれと聞くんですよ。

有野: ファミリー層の見られ方やね(笑) 子どもが親に説明したいから一緒に見るようになるねん、有り難いね〜。確かに、番組で地方に行くことが多い方やから、普通の人よりはいろいろ食べてるかもしれんね。地方といえば、オトンが亡くなったとき、相続問題が出てな、オトンが地元に持ってた土地をどうしようかって話になって。割と広い土地で、4カ所あって、合わせたら6反(たん)もあってな。

三輪:6反……って言われても、イメージわかないですよ。

有野:一反が300坪やから、その6倍。分かりやすく言うと、東京ドームの敷地の10分の1より少し広いくらい。

三輪:それもイメージ湧かないです(笑) まぁ、結構な広さだったんですね。

有野:オカンも兄ちゃんも姉ちゃんも「いらんで。晋哉もらっていいで」って言うから、「やったぜ!」って調べたら全部山奥で傾斜もある土地で、太い木は植ってるけど売り方知らんし、地方に土地を持っててもこれは使わへんやろうな、って事でそこの役所に寄付しようかと思って。

三輪:おぉ、素晴らしいじゃないですか!

有野:それで役所に電話してんけど、土地の場所とか向こうで調べてもらった結果、「いらないです」って断られたんよ。その時は、「いらないなんてあるんですか!?」って聞いたら、今後、開発されそうな土地であるかとか、使い勝手を見るみたいで、それには該当しなかったみたい。結局、親戚のおっちゃんに譲ってんけど。

三輪:善意で寄付しようとしてるのに、地方自治体でもいらないっていうケースもあるんですね。確かに、場所によっては使い道がなくて、もらっても困ってしまうことはあるでしょうけど……。

山田真哉(以下、山田):不要な土地や不動産は、「不動産」ではなく、「負動産」になってしまうんですよね。ちょうど有野さんが不動産のお話をされていたことですし、今回は「固定資産税」についてお話していきましょう。皆さんにとっても、関心が高い税金だと思いますから。では、授業を始めましょう。

「固定資産税」の金額は「公示価格」がベース

有野:確か、土地だけやったら固定資産税が高くなるから、プレハブでもいいから住むための家を建てておくと、安くなるんですよね?

山田:おぉ、よくご存じですね! まず、固定資産税とは、住宅地や農地、家屋や工場などのほかに、会社の備品など事業用の資産にかかる税金です。その資産の価値に応じて税額が計算され、その資産がある市町村に納めることになります。

有野:へぇ~、土地と家だけにかかるんじゃなくって、コピー機やら会社の備品にもかかるんですか。それも資産か、なるほどねぇ。

三輪:有野さんは会社をお持ちなのに、知らなかったんですか!?

有野:いや、そのあたりは税理士の先生に任せてるし、大きな会社違うし、我が社の備品はコピー機じゃなくてプリンターやし。会社は持っているけど、全く知らんかった。って言わすな(笑)

山田:固定資産税は「固定資産評価額」をベースに、「固定資産税評価額×標準税率(1.4%)」とう計算式で算出されます。この固定資産評価額というのは、「固定資産の公示価格の7割」がメドになります。

有野:その「公示価格」は、なにを元にしているんですか? いちいち全部の土地を計算するのは、めちゃくちゃ大変ですよね。

山田:土地に関しては、国土交通省が発表している毎年1月1日時点の「公示地価」が時価の指標になっています。ただ、土地は需要によっても大きく価格が動くので、実際に売却する場合、いわゆる「実勢価格」が、この「公示地価」から上下に大きくぶれることも少なくありません。

有野:なるほど、確かに「桃鉄」でも、物件買った土地が人気になって「臨時収入が発生!」とかあったなぁ〜。

三輪:やっぱり、有野さんはゲームが基準なんですね(笑)

有野:ゲームで学んでることが多いからね(笑)

シャッター通り商店街が生まれる理由

山田:先ほどの有野さんの「家を建てれば固定資産税が安くなる」というお話ですが、固定資産税には「住宅用地特例」という特例があり、敷地に人が居住できる家が建っていれば、固定資産税が6分の1、都市計画税が3分の1になるんです。

有野:また新しい税金が出てきた、面白そう! 都市計画税ってなんですか?

山田:都市計画税は、「市街化区域」内の土地や家屋を持っているとかかる税金ですね。住宅や商業施設などが並んでいるような場所は、だいたいこの「市街化区域」に該当します。税率は、固定資産税が先ほど少し触れましたが原則として1.4%、都市計画税は自治体によって若干の差はありますが、上限が0.3%と決められています。

三輪:1.4%や0.3%って聞くと、それほど高くないような気もしちゃいますけど……。

有野:でも、不動産やと分母が大きいもんなぁ。

山田:たとえば、固定資産評価額が1,000万円の土地を持っているとしましょう。家が建っていない更地だと、固定資産税の1.4%と都市計画税0.3%の合計で、年間17万円を税金として納める必要があります。ところが、住居が建っていると、「住宅用地特例」によって税金は約3万円まで下がります。

三輪:家が建っているのといないのとで、そんなに違うんですね!

有野:毎年17万円は厳しいけど、3万円なら何とかなるか、って思ってしまうよなぁ。

山田:全国で空き家が増え、「空き家問題」は社会問題化しているのも、これが大きな要因の1つになっています。家を壊して更地にするのにもお金がかかりますから、それなら家を壊さずにそのままにしておけばいいか、となるわけです。国土交通省の「「空き家等の現状について」によると、2018年までの20年間で、全国の空き家の数は394万戸から848万戸まで、2倍以上に急増しているんですよ。

三輪:遺産分割で揉める原因になることも少なくないですね。兄弟のどちらかが親と同居していて、親が亡くなった時に、更地にして売れば大きな利益を得られるけど、もともと住んでいた方は、このまま住み続けたいと主張するケースとか。この場合、住んでいない方は、更地にして売却して得られるお金を、住んでいる方に要求したいですよね。その方が相続で取得できる金額が多くなるので。

有野:親が亡くなったからって、同居して最後まで親の面倒見てくれた兄ちゃんとこに、「俺の取り分頂戴」って言うても、「家売らんとそんな金ないで」って言われるやろ。かといって、家売ったら兄ちゃん住むとこないし、そもそもみんなの思い出が詰まってる家を売ってくれなんて、俺は兄ちゃんに言われへんで。でも家で話したら、嫁がカンカンで「お兄さんは今まで家賃払ってないじゃない! ウチはずっと賃貸なのに!」って言われたら、「もうちょっと考えようか」って保留にするかなぁ……想像しただけでも、心がキュウって縮まるな。

山田:そういう理由で、空き家がめちゃくちゃ増えているんです。現在では東京でも「シャッター通り商店街」を見かけることが少なくありませんが、それも「このまま残した方が、税金が安くて済む」ことが大きな要因になっているんですね。

有野:へぇ、そういうことやったんや! なるほどなぁ、長年の疑問が解決してスッキリしたわ〜。

どんどん厳格化する空き家の管理

三輪:でも先生、空き家をそのままにしておくと、地震とかで倒壊したりするかもしれないから、危ないですよね?

山田:そうなんです。そのまま人が住まわずに放置しておくと倒壊の危険があり、実際に屋根や外壁が倒壊し、通行人がケガをするようなケースも出ています。これに対応するため、政府は2015年に「空き家対策特別措置法」、いわゆる「空き家特措法」を施行しました。

有野:へぇ、そんなんあるんや。しかも2015年って結構前やけど、制度が出来てよくなったんですかね?

山田:「空き家特措法」は、窓が割れていたり、亀裂が入っていたりして倒壊の危険性がある建物に対して、自治体が「特定空き家」に認定することで、自治体が強制的に解体、あるいは修理を所有者に求めることができるという法律です。いわゆる「ゴミ屋敷」など、衛生上で有害と考えられた場合も同様です。「特定空き家」に認定されると、先ほどお話した住宅用地特例の要件から外れてしまうので、固定資産税が約6倍に上がってしまいます。

有野:住んでないから税金は上がってしまうか。でも「ゴミ屋敷問題」って、よくテレビで取り上げられてたけど、誰も住んではらへんゴミ屋敷の場合やと、いまは強制的に撤去できるようになったんや。

山田:老朽化した空き家を放置したままだと、ただただ街が枯れていくだけです。そういう意味では、所有者は諦めて更地にして、新しいマンションなどを建てられるようにすべきでしょうね。空き家については、「空き家特措法」の施行後も、特定空き家に指定された後も修繕や解体の処理がなされたのは半分程度にとどまるなど、まだまだ管理や修繕が必要な空き家が多いのが現状です。

三輪:わたし自身も解体費が払えないとか、誰が解体費を負担するか決まらないということで解体がなかなか実現できないというケースを経験したことがありますね。空き家の解体も所有者の義務ではないわけで、とても難しい問題ですね。しかも名目上の所有者も自らすすんで所有者になったわけではなかったりしますから。

山田:法改正によって「管理不全空き家」という項目が加わるなど、空き家に対してはどんどん厳しい管理が求められるようになっていますし、これからもそうなると思います。ご実家など、いまは空き家でなくても、将来的に空き家になる可能性がある場合は、いまのうちに対策を考えておくべきでしょう。

有野:俺もやらないで放置しているゲームソフトが多いもんなぁ。どんどん溜まって、ハードが段ボール1箱、ソフトが2箱あるもん。昔のソフトって、ダウンロードで出来るようになったから、いらないっちゃいらんねんけど。でも、そのハードでコントローラーでやりたいしなー。でも、元気なうちに「管理不全ゲーム」にならないよう、全部売って次のゲームを買うとか、有効利用すべきタイミングなのかもしれんな。

三輪:やっぱりゲーム基準なんですね(笑)

次回(4月18日配信予定)は「自動車税」について聞いていきます。

有野晋哉
1972年2月25日生まれ。大阪府出身。テレビやラジオ、CM、雑誌の連載などマルチに活躍。コンビで公式YouTube「よゐこチャンネル」も開設しており、幅広い世代から支持を得ている。自身が50歳を迎えた2022年に、お金にまつわる知識の大切さに目覚め、日々勉強中。

三輪記子
東京大学卒業後、立命館大学法科大学院を経て司法試験に合格。2017年より第一東京弁護士会に所属。弁護士として法律相談、法的問題のセカンドオピニオンや交渉、調停、審判、訴訟の代理人などを務める。主に中小企業や個人事業主の顧問弁護士として活躍するかたわら、松竹芸能に所属し、テレビやラジオなどメディアにも出演。ゲストを交えて時事問題を法的観点から語るYouTubeチャンネル「みわたまチャンネル」も手掛ける。

山田真哉
山田真哉事務所代表、公認会計士・税理士・芸能文化税理士法人会長。大阪大学文学部卒業後、東進ハイスクール、中央青山監査法人/プライスウォーターハウス・クーパースを経て独立。小説『女子大生会計士の事件簿』(角川文庫他)はシリーズ100万部、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(光文社)は165万部を超えるベストセラーを記録した。個人のYouTubeチャンネル「オタク会計士ch【山田真哉】少しだけお金で得する」は登録者数約60万人。公職として2016年から内閣官房行政改革推進会議WG委員、株式会社ブシロード等の監査役を務める。

ライター:新井奈央 / 写真:文化工房

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