澄み渡る青空。美しい芝。白球が奏でる音に、歓声が重なり合う。最高峰のプレーに心躍り、熱く盛り上がる場所。メジャーリーグ武者修行の旅でアメリカ中を飛び回り、全30球場を制覇したスポーツアナウンサー福田太郎が、あなたを「夢のボールパーク」にお連れします。MLBスタジアムの世界へ、ようこそ。
イチローさんに会えるボールパーク
MLB最北端かつ最西端のシアトル・マリナーズ。「T-モバイル・パーク」は日本から最も近い場所にあるMLBスタジアムです。そして、私たちにとって馴染み深い、心の距離も近い球団でしょう。
2001年に海を渡ったイチローさんをはじめ、日本人メジャーリーガーたちの功績を、球場内の至るところで感じることができます。現在は「会長付特別補佐兼インストラクター」として、熱心に若手を指導する姿も見られるはずです。
また、シアトルは今年のオールスター・ゲームの開催地にも決まっています。ひと足先に街の魅力を感じて、この夏イチローさんに会いに行きましょう!
[とても美しいボールパーク!](
T-モバイル・パークへ
タコマ国際空港を拠点に持つ「アラスカ航空」では、機内で「スターバックス」のコーヒーが提供されています。これは、全米で最も古い市場「パイクプレイス・マーケット」にスターバックス発祥の地があるため。その「スタバ1号店」や球場からも見えるユニークな本社ビルは人気の観光地なので、ぜひ寄り道を。
ワシントン州シアトルは、北海道よりも緯度が北なので、車窓からは針葉樹林が見え、寒い地域に来た感じがします。最寄りの「スタジアム駅」までは1時間くらいです。
開閉式の大きな屋根を目印に歩いて10分。見上げれば、その迫力に驚くはずです。球場内外で私たちのことを心から歓迎してくれる球団スタッフやファンに出迎えられたら… T-Mobile Park! Nice to meet you!!!
[屋根が開くと綺麗な青空が広がります!](
永遠の伝説・イチローさん
MVP・新人王・首位打者・盗塁王・シルバースラッガー賞・ゴールドグラブ賞のタイトルを総なめにしたMLB1年目の2001年。イチローさんの活躍もあり、マリナーズはMLB史上最多の「シーズン通算116勝」を挙げ、アメリカン・リーグ西部地区を制しました。2004年の262本のヒットを重ねたMLBシーズン最多安打記録は未だ破られていません。
レジェンドは、指導者としてチームに帰ってきました。そして、グラウンドで見られるのです。現役当時と変わらない美しい立ち振る舞いで、走って、守って、投げて、時には自らバッターボックスに立って…。エンゼルス戦では大谷翔平選手が挨拶に駆け寄って楽しそうにお話ししていました。
ファンだけでなく、選手も尊敬してやまないイチローさん。愛弟子フリオ・ロドリゲス選手が昨シーズン大ブレイクを果たしました。2001年以来となるポストシーズン進出の立役者は、陽気なキャラクターも人気で「ネクスト・イチロー」の呼び声も高い選手。球場でイチローさんを見かけると無邪気に抱きつく姿は「親と子」のようで、真剣に指導を受ける時は「師弟」のような、素敵な関係です。
昨年、マリナーズの殿堂入りを果たし、球場にレリーフが飾られました。引退から5年が経つ2025年にはアメリカ野球殿堂入りも確実と言われています。生きるレジェンド・イチローイズムは、確かにチームに継承されています。
[歴代選手の栄光が記された「マリナーズ野球殿堂」コーナーは必見!](
Ballparkの楽しみ方
チームストアでは、ユニフォームをはじめ、オリジナルのデザインTシャツや顔のワッペンなど、ユニークなイチローさんグッズがずらり。球場内では「51」を身に纏ったファンが大勢いて、リスペクトされています。
[子供用のユニフォームも!](
日本人選手の軌跡も見つけられるはずです。2001年、前回シアトルでオールスター・ゲームが開かれたときにイチローさんとともに出場した佐々木主浩さんや、日本人キャッチャー初のメジャーリーガー・城島健司さん、2015年にノーヒッターを達成した岩隈久志さんなど、多くの日本人選手が活躍しました。かつてゲーム会社の「任天堂」がオーナーだったこともあり、日本と縁深い球団です。
全米屈指の港町であることからシーフードが充実しています。クラブサンドはカニの身がぎっしり。ちょっと冷え込むナイトゲームはクラムチャウダーで温まりましょう。
レフトスタンド最上段からは、美しいシアトルの街とスタジアムの景色を独り占めできます。
オールスター・ゲーム2023
7月10日にホームラン・ダービー、7月11日にはレッドカーペットとオールスター・ゲームが開かれます。イチローさんとスターたちの夢の祭典を見に、今年の夏はシアトルでお会いしましょう!
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福田太郎(ふくだ・たろう)/ 1991年生まれ。HTB北海道テレビ放送アナウンサー。プロ野球の実況中継や、朝の情報番組MCを担当した後、2022年2月から11月まで休職。MLB全30球団・ボールパークを訪ね、世界最高峰のスポーツエンターテイメントを学び、12月に復職。写真:福田太郎
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