18日にリニューアルオープンする井原市立平櫛田中美術館(同市井原町)で12日、報道関係向けの内覧会が行われ、日本庭園を眺望できる交流スペースや、市民らが芸術作品を発表する市民ギャラリーなどが公開された。
同館は市出身で近代彫刻界の巨匠・平櫛田中(1872~1979年)の作品を中心に展示している。新館は、旧本館の大部分を生かした鉄筋コンクリート3階延べ約3600平方メートル。床面積は改修前の1.6倍、収蔵庫は2.6倍に拡張した。展示室は1~3階に大小6室。ホールとホワイエは木を多用した温かみのある空間で、隣接する日本庭園・田中苑をガラス越しに一望できる。
3階には、創作に情熱を注ぎ続けた平櫛田中の生涯を動画や年譜などで紹介する記念室を設け、田中が半世紀にわたって創作の拠点とした「上野桜木アトリエ」(東京)が再現されている。伊藤祐二郎館長は「気軽に芸術を体感できる場所として市民や美術ファンに親しんでもらいたい」と話している。
工事は2021年4月に着手、22年10月に完了し、作品搬入など準備が進められていた。建設費は約16億3300万円。初年度は2万人の来館を目指す。18日からは、田中作品を全館展示する「所蔵名品展I」(7月9日まで)が開かれる。