静岡県熱海市の土石流災害で立ち入り禁止となっている「警戒区域」について、熱海市は9月1日に警戒を解除する考えを明らかにしました。再び伊豆山で暮らしたいと考える住民の生活立て直しに向けて一歩を踏み出しました。
志村信彦さん、42歳。土石流によって伊豆山にあった自宅を流されました。奥さんと子ども2人とともに市内にある県営住宅で避難生活を送っています。
被災から1年9カ月。慣れ親しんだ伊豆山に家を新たに建て直したいと考えています。
<志村信彦さん>
「子どもが戻りたいっていう気持ちをかなえてあげたい。戻った家が、家族が仲良くできる家ならいいのかなって」
<志村信彦さん>
「そこの通りがあって、ガレージがあって、その上がウチがありましたね。なかなか(警戒区域の中に)入れないので、変わらないです。早く人が戻ってこられるといいですけど。長期的な支援をお願いしたい」
熱海市が4月11日の夜に開いた住民説明会。参加したのは、志村さんはじめ、家が全壊するなどして応急仮設住宅で暮らす被災者49人です。
<熱海市 斉藤栄市長>
「9月1日を警戒区域の解除予定日といたします」
斉藤市長は、土石流の源頭部に残る不安定な土砂の撤去できるめどが立ったことから「警戒区域」の解除予定日を9月1日と設定し、住宅の補修など生活再建に必要な準備を進めてもらいたいと説明しました。
市が示した支援策は応急仮設住宅で暮らす住民に対し、
▼住宅支援は警戒区域内の自宅に戻れる環境が整うまで継続
▼応急仮設住宅からの引っ越し費用を1世帯30万円支給
▼住宅再建のための借り入れにかかる利子を助成するなど大きく5つの項目です。
また、5月中旬から「一時立ち入り」を認め、7月から建物の修繕作業を可能とするスケジュールも示しました。
<熱海市 斉藤栄市長>
「一つの目標の日を設定できたことが皆様の安心感、また帰還への希望につながることを期待しています」
<警戒区域 未来の会 中島秀人さん>
「警戒区域解除で戻れる方もいるんですが、戻れない方も半分ぐらいいるんですね。この先、何年というのは、予定としてスケジュールとして出ていないんですね。じゃ一体何年かかるんだという心配はあります」
<被災者 志村信彦さん>
「被災者支援室でちゃんと話を聞いてくれると言っていましたので、小さな一歩ですけど、前進したことだなという風に思っています」