地元住民と移住者どう認め合う? 「農×地域シンポ」の冊子が完成 京都・南丹 

農業と地域の持続可能な在り方を探ったシンポジウムの成果をまとめた冊子(京都府南丹市日吉町)

 農業と地域の持続可能な在り方を探ろうと京都府南丹市日吉町で開かれたシンポジウムの成果をまとめた冊子が完成した。農家や研究者など多彩な登壇者の発表や質疑を収録。地元の人と移住者が価値観の違いを認め合うことや、農業や林業、狩猟が一体となりコミュニケーションを深めることの大切さを論じている。

 「農×地域シンポジウム 未来を耕す」は、同市の移住支援団体「つむぎ」のメンバーらでつくる実行委員会が2月18日に開催。地元農家、森林組合や猟友会のメンバーなどが登壇し、約100人が参加した。内容をまとめた冊子が3月中旬に完成した。

 講演や質疑から、移住者の視点が活性化に必要だとする意見を多く載せつつ「農業の大変さや冬の厳しさを認識してから来て」と覚悟を問う声や、就農希望者に人気の有機農業は「全容が見えず知らない人が近所で始めるのは心配」などの率直な意見も記録した。

 登壇者の寄稿では、農地や山林に関わる人が全市的につながる重要性を訴える文章が目立った。実行委員会のドワイヤーはづきさん(43)は「立場の違う登壇者同士が刺激を受け、共通の課題認識に至れた。話し合いの場づくりを今後も続けたい」と語った。

 A4判27ページ。紙の冊子は市立図書館に寄贈する予定。電子版をつむぎのホームページで公開している。

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