「紛争 憎しみで解決しない」 イスラエルとパレスチナの若者が来崎 家族亡くした経験語る

田上市長らと面会し、イスラエルとパレスチナの和平実現への思いを語る遺族ら(右側)=長崎市役所

 イスラエルとパレスチナの紛争などで親族を亡くした両国民を日本に招き、相互理解を深める「中東和平プロジェクト」の参加者が10~12日、長崎市内を訪れた。両国の若者たちは11日に田上富久市長と面会し、「憎しみでは解決しない」などと対話を続けていく決意を語った。
 同プロジェクトは2003年以降、京都府綾部市を皮切りに全国の自治体が持ち回りで開催。13回目となる今回は同府亀岡市が両国の遺族を3人ずつ招き、交流プログラムに初めて被爆地訪問を盛り込んだ。
 6人は桂川孝裕・亀岡市長らと長崎市役所を訪れ、家族を亡くした経験や平和への思いをそれぞれ語った。1967年の第3次中東戦争で父を失ったイスラエル人のユバル・ラハミンさん(63)は現在、両国民でつくる「紛争遺族会」の運営責任者を務めており「復讐(ふくしゅう)を諦め、和解によって未来を開こうと活動している」と紹介した。2010年に父親をイスラエル兵に殺害されたパレスチナ人、ヤスミン・ズィアド・ジラーニさん(20)も「憎しみ続けるのではなく、何かを変えようと思うなら、話し合わなければ何も変わらない」と心境を語った。
 6人は8~17日の日程で来日し、亀岡市や東京で市民や大学生と交流。長崎市内では長崎原爆資料館なども視察した。

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