「厄介者」のウニを蓄養 未利用野菜などを餌に 南島原市と漁協

南島原市と島原半島南部漁協が未利用野菜を餌にウニを蓄養している=南島原市南有馬町の沖合(市水産課提供)

 沿岸漁場の海藻類を食べ尽くす「磯焼け」の要因となっているウニを未利用野菜などを餌にして、身入りを良くする蓄養事業が、長崎県南島原市南有馬町の沖合で進んでいる。市や地元漁協は藻場の再生や漁業者の収入確保のほか、環境保全にも期待を寄せている。
 磯焼けは海藻がウニの食害などで失われ、魚類の産卵場所や貝類の餌場となる海底の岩場がむき出しになる現象。地元漁協などはウニの駆除を続けているが、身入りが少ないウニは売り物にならず、廃棄されているのが現状だ。
 市と島原半島南部漁協は3月上旬から市西部の沖合で捕獲したウニをカゴの中で蓄養。週2回、収穫後のブロッコリーの葉や養殖ワカメの廃棄部分などを餌として与えている。4月末にカゴを引き上げて、効果を検証する。
 市水産課は「漁業者の人手不足で駆除もままならない状況。今後、検証結果を基に、蓄養方法や場所の選定などを含めて検討していく。地元農漁協や生産者から市内飲食店などへ輪を広げ、新たな商品価値を生みだし、地域と漁業の活性化を図りたい」としている。

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